金融庁、令和2年度の金融行政方針を発表 仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーンにも言及
令和2年度の金融行政方針を発表
日本の金融庁は31日、令和2事務年度の金融行政における重点課題に対し、どのような方針で取り組んでいくかについて「金融行政方針」を発表した。
仮想通貨(暗号資産)については、魅力ある金融市場を構築する上で、犯罪対策等の強化を実施。ブロックチェーンについては、金融システムへの応用について国内外の議論を主導していくと述べた。
今回金融行政の重点課題として挙げたのは以下の3点。
- コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く
- 高い機能を有し魅力ある金融資本市場を築く
- 金融庁の改革を進める
仮想通貨について言及したのは、2番目の金融資本市場に関する内容だ。
同項で金融庁は、金融ビジネスの国際化の中で、日本の金融資本市場の機能を向上し、アジアや世界における役割を高められるよう取り組むと説明。これらの取り組みは、地政学リスクなどが強まる中で、日本市場が国際的なリスク分散にも貢献できることにも繋がるとした。世界全体に役立つ形で日本の金融市場を発展させられるようにすると強調した。
この取り組みで実施項目の1つに挙がっているのが、マネーロンダリング対策(AML)とテロ資金供与対策(CFT)だ。金融庁は、金融機関の対策の高度化に向けて、関係省庁や業界団体等とも連携し、顧客対応にも配慮しながら必要な対応を行うとした。
AMLとCFTについては、国際的に論点となっているポイントとして、ステーブルコインを初めとする仮想通貨を挙げ、金融庁が共同議長を務める FATF(金融活動作業部会)コンタクト・グループにおいて、仮想通貨に係る新たな基準の実施、仮想通貨・ステーブルコインについてのルールの追加等において主導的な役割を果たすと述べた。
2019年10月から11月にかけてFATFの第4次対日相互審査が実施されたが、日本のAML・CFTに係る現状や課題について、引き続きFATF審査団との議論を深めることによって、審査結果を対応の改善に繋げる。
具体的には、預金を取り扱う金融機関へのモニタリングを強化するとともに、資金移動業者や新しい業態についてもモニタリングを実施、非金融分野についても関連省庁との連携を進める。さらに、これまでのモニタリング実施結果等を踏まえ、対話のための論点を整理を行う。
またAIを活用したシステムを構築し、各金融機関が共同利用することでAML・CFTの高度化・効率化を検証する政府の実証事業について、関係者の支援も実施。その結果を踏まえ、現行規制上の論点や実用化への課題等を関係省庁と検討・整理するとしている。
ブロックチェーンについて
コロナ後の新しい社会を築くという課題では、顧客のニーズに応える金融サービス作りをテーマの1つに挙げている。
デジタル化された先進的でより良いサービスの開発・提供は、顧客に大きな利便性をもたらす可能性があると説明。金融機関を含む事業者にとっても新たな収益機会が生まれ、それが更に利便性の高い新たな金融サービスの創出につながるという好循環が生まれることが期待できると述べている。
金融庁は金融機関を含む事業者が、より利便性の高いサービスを提供できるように、規制・技術上の課題等を適切に把握して一体的に支援。セキュリティの標準化など事業者が抱える共通課題に着目し、多様なステークホルダーの協調による課題解決の動きも後押しする。
ブロックチェーン等の分散型技術の金融システムへの応用についても、Blockchain Governance Initiative Network(BGIN)の活動やブロックチェーン「国際共同研究」プロジェクトを通じて国内外の議論を主導していくとした。
補足資料では前年度の実績も説明している。仮想通貨については、グローバル・ステーブルコインに関して、G7として「規制・政策上の懸念・課題は、サービス開始前に対処される必要がある」との見解を公表したことなどを紹介。
ブロックチェーンについては、「AI・データ活用」、「ブロックチェーン」、「API」、「ビジネス革新」の4分野を重点的にヒアリングするなど、情報収集や支援機能を強化したこと等を挙げている。
参考資料 : 金融庁
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します