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マネックス松本代表らが金融庁に強い要望「花開くか日本のSTO、金商法改正で本格スタート」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デジタル証券(セキュリティトークン)

日本経済新聞社と金融庁主催のブロックチェーンサミット「Blockchain Global Governance Conference 、FIN/SUM Blockchain & Business (フィンサム)」が開催された。

同ブロックチェーン(分散型台帳)技術の健全な発展と新規ビジネスへの取り組みを議論する国際会議として位置付けられており、8月24日(月)、25日(火)の両日、東京・日本橋にて開催されている。

同イベントは、世界から技術者や研究者、事業者、当局者など様々なステークホルダーが参加。同技術の実社会での活用に伴い、必要な国際ルールや課題解決に向けた道筋を金融部門にとどまらず議論する場となっている。

日本のSTOの現状

「花開くか日本のSTO、金商法改正で本格スタート」というパネルセッションでは、金融やSTOに精通する4名が「パネリスト」として登壇した。

  • SBI R3 Japan 代表取締役 藤本守氏
  • マネックスグループ 代表執行役社長 松本大氏
  • 三菱UFJ信託銀行 Fintech推進室長 田中利宏氏
  • BOOSTRY CEO 佐々木俊典氏

モデレーターは、日本経済新聞社編集委員であり、ワールドビジネスサテライト解説者の滝田洋一氏が務めた。

滝田氏は「セキュリティートークンを使ったオファリングなので”起債”の話ということになってくる」と前置きした上で、「セキュリティトークン」でどのように使い勝手がよくなるのか?という点についてパネリストに伺った。

不動産分野とセキュリティトークン

モデレーターに促され、口火を切ったのは三菱UFJ信託銀行 田中氏。

田中氏は、いわゆるデジタル証券とされるセキュリティトークンに携わる中で、「いろんな財産価値や利用権など今までなかなか流動化・調達できにくかったものに対して、資金調達を手軽にしたい、資金調達を通じて新たなファンを開拓したいという企業をユースケースしてヒアリングを行ってきた」という。

三菱UFJでは、業として取り組んできた「不動産分野」に特に注目している。

不動産トークン販売については、広くあまねくをコンセプトにするなかで、従来の機関投資家だけでなく、(例えば公募で50名以上)の個人投資家をターゲットにせざるを得ず、ウェブ経由でお届けすることができないかと考えているとした。

セカンダリ(二次流通)市場について

セキュリティトークン(デジタル証券)のセカンダリ(二次流通)市場について話を振られたSBIホールディングスの藤本氏は、

「SBIは、4年ほど前からブロックチェーンの取り組みを始めている。17年の資金決済法の改正で、暗号資産の交換業というところから、ICOの日本での実現に取り組んできた」と自己紹介。過去に「SBIキャピタルベースという会社を作り、スタートアップ向けのエクイディティファイナンスの代替としての市場を目指したが、なかなか当局に承認をもらえず。株式型クラウドファンディングに衣替えした」明かした。

そのような経緯があり、19年に資金決済法と金商法が改正され、新しいセキュリティトークンが出てきたタイミングで、賛同いただける「証券業協会」のみなさんと一緒に「STO協会」を立ち上げたとしている。

特別な法的な措置がなされていない二次流通市場において、「STO協会」を土台として、セキュリティトークンの二次流通できるプラットフォームを作っていこうということを検討している。

ブロックチェーンプラットフォームについて

これに対し、野村ホールディングス合弁会社BOOSTRYでブロックチェーンプラットフォームを手がけている佐々木氏は、

「ブロックチェーンの良さを活かした仕組みにしようとしてやっている。野村グループ単独で何かやるのではなく、コアな部分はオープンソース化した上で、技術提供をしながら”業界標準”としてみんなで運営するものを作っていきたい。東証もひとつの金融機関が運営しているものではなく、ある種の共有財として利用している。ブロックチェーンも同じだ。」と述べた。

NRIのデジタルアセット債では、金利の代わりに「カフェで使えるポイント」を付与するなど、従来の金融商品にない商品設計となっているという。

佐々木氏は、「江戸時代に”コメ”が決済に使われていたのは、ある意味(食べ物として)利用できるユーティリティーであり、似たような概念は昔から存在した。つまり、ある種の保有権・権利や義務をトークン化すれば、保有者が誰かというのをデジタル上で管理できる。かつブロックチェーンのように誰でも参照できるのをトークンで実現できるのが面白い。」

などと、歴史の事例に例えながら言及した。

米国と日本の違いについて

モデレーターの滝田氏が「米国と日本の違いについて」最後に尋ねたのは、米ニューヨークや英ロンドンとの接点も多く、金融界の中で一番の国際派であるマネックスグループの松本氏。いわずとしれた、仮想通貨取引所コインチェックの親会社である。

「簡単に言うと、米国はどんどん進み、日本はどんどん遅れている」と本音で打ち明ける松本氏は、こう続ける。

暗号資産に関しては日本の方が先行していたが、米国は社会の枠組みとして、イノベーションを利用するという方向に突き進んでいるのが強みだ。 社会やテクノロジーが日進月歩の中で、米国はレギュレーションもそれに合わせて変わっている。

例えばセキュリティトークンについて、セキュリティ議論よりも、どのような開示をしたら”何かしらの価値を流通させていいのか”というところに力点が置かれている。 社会やテクノロジーが進化する中で、古い枠組みでは対応できないと言うことが明らか。その点、日本は後退している。

「証券業協会」はSTOについてはやらないと逃げてしまった。その後結果的にSTOは「金商法」で規制・定義されるようになったため、後戻りしたような印象を受ける。

米国の場合は、イノベーションの後に「法律」は後からついてくる。米国は「何かが流通するなかで事故が起きないように、どのような開示をしたらいいか?」という議論にいく。最初からこれが証券なのか?流通させていいのか?という議論が前提にあるのが日本。

色々なアイデアが出てきている中で、最初から「規制」ありきはあまりよろしくないのではないか。

例えば、10万円までのものであれば何やっても構わないと言うようにする。いちいちユーティリティかどうかなど峻別しなくてもいいという「セーフハーバー(特定の行為が特定の規則に違反していないと見なされることを指定する法令または規則の規定)」を作っておけば、テクノロジーが進歩していく。大きく伸びるものがあれば、初めてそれに合った規制を考えればいい。

その方がイノベーションが発展する。米国や中国は大体そのようなやり方で進歩している。日本はそうではないのが問題だ。なぜなら、「何が証券か、何がセキュリティか」なんていう議論は、時代とともに変わっていく概念だから。

この意見に呼応した佐々木氏は、「統一見解がないとか軸がない中で、(保守的な)ルールが先に出来てしまうと、イノベーションを阻害しかねない。そろそろ暗中模索の時期は終わったのでは。」と指摘した。

実態に則したレギュレーションを

モデレーターから意見を求められた三菱UFJ信託銀行の田中氏は、

セキュリティトークンを検討した当初、すごく面白いものなんじゃないか?とみんな思ったはず。

例えば「君の名は。」の次回作や「天気の子」といった映画の次回作のクーポン券をベースに出してもいい。新海誠監督の次回作ということになれば、みんなベットするのでは。株式や社債に見向きもしなかった人たちが、投資を始めるかもしれないという仮説があった。

しかし実際に始まってみると、セキュリティトークンは証券規制の下に入る。有価証券なので、有価(価値を現金に替えられるものでないといけない)だとリスクテイクできない。かと言って直接調達だと、証券会社じゃないとダメということでハードルが上がる。

今は、私の娘ですらメルカリでトレードする時代になった。余った特急券の横流しなど(ふとした日常の)ちょっとしたトレードも社会的なコンセンサスとなりつつある。そのような実態に合わせレギュレーションを作っていくのがいいのでは。

これに対し、SBIの藤本氏は、

金融商品に位置付けられるだけで、いろんな規制が嵌められる。投資家保護が重要なのは当たり前だが、今の時代は、プロテクションが新しい技術で出来る仕組みも出てきた。

裾野を広げるためにも、金融庁の開示の在り方についても、もっとクリエイティブに考えてもいいのでは?監査が入ったものをきちんと開示するとなるとタイムラグが大きい。もっと投資しやすい環境にする発想があってもいい。

2017年の「資金決済法」は、ある程度自由度が高かったからイノベーションが発展した。 最低限守るべきルールだけ決めて、あとは市場参加者が知恵を絞ってルールを作っていくという方が、まだ希望は持てる。

総括

三菱UFJ信託銀行 田中氏

セキュリティトークンは、なるべく簡単に調達できる。 起債よりもスピードアップして安全にお金を供給できる、かつ安全に。投資家に優しいというバランスの難しい代物。 そこを追求したい。

SBIHD 藤本氏

各方面に出資や投資したりして、色々なプラットフォームを試して早くやるというのが一番重要だ。 事例を作っていけば、きっと付いてくる人たちがいるということを期待して、どんどん先に進んでいきたい。

マネックス 松本氏

金融庁には、セーフハーバーかサンドボックスをぜひ作ってもらいたい。

10万円が無理なら1万円でもいいので、なんでも出来るフィールドを作ってもらえれば、いろんな技術や開示の方法などを含めて議論が進むと思う。

BOOSTRY 佐々木氏

今の証券業界のシェアの取り合いでない、マーケットの広がりを感じさせるものになる。

業界のみなさんと”戦わない領域”で一丸となって進めていければ、非常に面白いマーケットになるのでは。

モデレーター 滝田氏

セキュリティトークン分野は非常に「将来性が高い」ということが、本日のセッションで浮き彫りになったのではないか。

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