フランス金融長官、DeFi(分散型金融)市場に強い関心

DeFi関連技術の試験運用制度を提案

フランスの規制機関である金融市場庁(AMF)のRobert Ophèle長官が、ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)を巡る規制のあり方について意見を表明した。DeFiについてもテストを行えるよう制度を改善することについても言及している。

金融コンサルティングを提供する団体Afore Consultingの開催した第5回フィンテック・規制会議で、長官は仮想通貨セクターの継続的な成長に伴い、欧州が適切な規制政策を実施する必要があると述べた。

欧州委員会(EC)が提案したMiCA規制は歓迎するとしつつ、金融商品として適格とされる仮想通貨を対象とするパイロット制度(新たな商品や仕組みなどを試験的に運用する)の必要性も訴えている。MiCAは法律の抜け穴を塞ぐが、一方でパイロット制度は将来の金融市場へ備えることにつながるという。

MiCA(Markets in Crypto―Assets)とはECが2020年に発表した包括的な仮想通貨規制案だ。欧州委員会が仮想通貨を既存の金融商品と同じようにみなし、規定することを目的としている。

すべての仮想通貨発行事業体に、規制当局からライセンスを得ることを義務づけ、資本要件や消費者保護なども義務付けるものだ。

特に、暗号資産サービスプロバイダーがEU加盟国で法人登録し、実在するオフィスを設けることを定めており、企業の形を取らない多くのDeFi関連プロジェクトが遵守できるか懸念されていた。

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「分散型ビジネスモデルへの扉を閉ざしてはならない」

長官は、パイロット制度の範囲を厳しく制限しすぎると、仮想通貨関連の事業を欧州連合(EU)から追い出す結果になるだろうと述べている。パイロット制度でテストする技術の範囲を広げ、その一環としてDeFiも対象にすることを提案した。

ブロックチェーンは急速に進化する技術であるため、テストできる技術の種類を制限することは望ましくないという。パブリックな分散型台帳技術(DLT)だけでなく「分散型金融(DeFi) のビジネスモデルもテストできること」が重要になると語った。

さらにMiCAについては、技術的中立性の原則を尊重することが必要だとして次のように意見している。

プライベートとパブリックを問わず、あらゆるタイプのDLTを利用できるようにする必要がある。また、分散型ビジネスモデルを禁止することで、そのビジネスモデルへの扉を閉ざしてはならない。組織規則、行動規則、AML/CFT(資金洗浄・テロ資金調達対策)規則を遵守できるようなビジネスモデルは認められるべきだ。

また長官は、欧州証券市場監督局(ESMA)が暗号資産サービスプロバイダーの監督を含め、ブロックチェーン・仮想通貨分野規制における主管機関となるべきであると主張。

仮想通貨などへの規制はまったく新しいものであるため、後の段階で検討するよりも、最初からESMAに能力を付与する方が適当だという。

法定通貨に裏付けられたステーブルコインは欧州銀行監督局(EBA)から規制されるだろうが、伝統的な金融商品(株式やコモディティなど)にも近い、資産を担保としたトークンについてはESMAが担当することもあり得ると示唆した。

欧州中銀総裁は「世界的な規制が必要」と発言

欧州中央銀行総裁は、デジタルユーロを発行する場合の利点について強調する一方で、民間のステーブルコインやビットコインなど仮想通貨には警戒する姿勢をみせている。

今年1月にロイターが主催したカンファレンスでは、ビットコインは非常に投機性が強く、世界的な規制が必要だと訴えた。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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