大規模資金調達を行った新ステーブルコイン「Fei」、想定外の事態で価格急落
新通貨FEI、急落
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)で約1400億円の資金調達に成功したステーブルコインプロジェクト「Fei Protocol」の価格が、ローンチ後に急落したことがわかった。
Fei Protocolは、ステーブルコインプロジェクトとしては、過去最大規模の資金調達。米コインベースやAndreessen Horowitzなど大手企業から出資を募っていた。
Feiは、DeFi(分散型金融)プロトコルでの活用をメインに開発された新たなステーブルコインだ。独自のインセンティブ設計により、ETH/USD建価格との連動を目指すシステムを導入していた。
その仕組みは、Fei価格が「米ドル価格=1ドル」より低い時に売るとペナルティーが発生、買うユーザーは報酬が貰えるというもので、価格乖離しても理論上1ドルに戻りやすくなる。Fei価格と1ドルの乖離が大きくなれば、ペナルティー額も大きくなる。
急落の経緯
プロジェクトは、4月4日に資金調達を完了、約13億ドル(約1400億円)に相当する639,000 ETHを募った。調達資金はプラットフォームが管理する形となる。
しかし、ローンチ直後からFei価格が急落し、一時0.73ドルに。イーサリアムで出資したユーザーがFeiを売ろうとしてもペナルティーが大き過ぎて売れない状況となり、さらに価格が下がる悪循環に陥った。
これを受け、プロジェクト側は7日、「インセンティブの算出プロセスで脆弱性が発見された」と報告。一時的に報酬のミンティング(鋳造)を停止する方針を発表した。
しかし、ペナルティーを停止しなかったことが裏目に出てFei価格は続落。Fei Labsは8日に入ってようやくFei売りのペナルティーを停止した。
DeFi活動に特化した興味深いアプローチを試した新ステーブルコインFei。本来1.0ドル水準で安定しなければならない米ドルペッグの「ステーブルコイン」としては出鼻を挫かれる形となったが、調達資金の規模から注目の高さは垣間見れる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します