米ワイオミング州、自律分散型組織(DAO)の法人化法案が成立
自律分散型組織に法的根拠
米ワイオミング州で、自律分散型組織(DAO)の法人化を正式に認めるための法案が承認された。21日、Mark Gordon知事が州の議会を通過した同法案に署名を完了しており、2021年7月1日から施行される予定だ。
自律分散型組織(DAO)とは、一般的な法人のような中央管理者が存在せず、その参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる、分散型の自律組織のこと。従来企業のような階層構造が存在しない組織も構築可能になる。
法案は、定められた条件の下でDAOが有限責任会社(LLC)という法人になることを認めるものだ。
同じワイオミング州を拠点とする、暗号資産(仮想通貨)銀行Avantiの創設者・CEOであるCaitlin Long氏は、この法案の成立を称賛し、内容を解説した。
不正プロジェクトを防ぐ仕組みも
今回成立したDAO法は、不適当な組織がこの法案を乱用することを防ぐ機能も提供するようだ。
Long氏によると、詐欺や違法行為を行うようなDAOから、ワイオミング州は法律がその組織に提供する保護を削除できる。
通常、有限責任会社(LLC)はその名の通り求められる責任の範囲が限られており、例えば発生した債務や従業員の不正行為についてLLCは責任を負うが、その LLCの所有者や管理者はこれを負う必要がない。
しかしDAOの場合には州がこの措置を取り除くことが可能だという。このため、DAO法により組織を設立したい場合は、要件を満たす適切なプロジェクトを構築することをLong氏は推奨した。
続けて、Long氏は次のように期待を示している。
この新しい法律によってどのようなイノベーションが解き放たれていくのか楽しみにしている。(DAO法は)あらゆる種類のオープンソース・ソフトウェアのプロジェクトを助けるもので、ビジネスに最適な土地としてワイオミング州の地位を確固たるものにするだろう。
ワイオミング州の先進的な規制環境
Long氏も指摘するように、ワイオミング州はこれまでも仮想通貨やブロックチェーン業界の成長を支援するような規制制度を整えてきた州だ。
2019年に、米国で初めて仮想通貨を法的な財産と認める法律を可決、2020年には保険会社が仮想通貨含むデジタル資産に投資できるような法改定を行っている。2月にはリップル社もワイオミング州に事業登録していることが判明した。
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