「自己複製するNFT」4億円超で落札、老舗オークションハウス「フィリップス」
フィリップスで最初のNFTが落札
英老舗オークションハウス「フィリップス」が初めてNFT(非代替トークン)を取扱い、340万ドル(約3.7億円)で落札されたことがわかった。手数料も含めると販売額は約414万ドル(約4.5億円)となる。
NFTとはそれぞれが唯一無二の価値を持つトークンで、美術品やスポーツ選手などの収集カード、音楽など様々な分野に応用され始めているところだ。
今回オークションで落札されたのは、「Mad Dog Jones」という名前でも知られるデジタルアーティストMichah Dowbak氏によって作成された「REPLICATOR(自己複製装置 )」というタイトルのNFTだ。イーサリアムのERC-721標準を活用している。
約一年に渡り、新たなNFTを生成し続ける
このNFTはユニークな性質を持つ。視覚的には、米ロサンゼルスのオフィスに設置されたコピー機の映像だ。しかしそれだけに留まらず、この作品自体が約一年間、新たにNFTを生成し続けるように設計されている。
作品を自己複製するロジックがコントラクトにプログラミングされており、複製タイミングや、所有権ルール、複製される世代数、さらに一定の回数以上複製されないようにする設定もコード化されているという。
新たなバージョンNFTが生成されるために、元の作品と少しずつ違ったディテールを持つようにするアルゴリズムも組み込まれた。生成されるアートワークの合計は最終的に、75から300と予測されている。
Dowbak氏は、NFTにおける新境地を発見するために「REPLICATOR」を制作したとして、次のように話す。
リリースして終わるものではなく、もっと大きなストーリーを語れるような、そこからさらに発展するものを作ろうと思った。
自己複製するNFTというアイデアを思いついた後は、説得力のある中心テーマを見つけるのに少し時間がかかった。コピー機のアイデアが頭に浮かんだ瞬間、それが完璧なものだと悟った。時間の経過と共に語られる機械の物語になるのだ。
アーティストに新たな財政基盤
フィリップスの20世紀・現代美術部門の専門家Rebekah Bowling氏は、NFTについて今後の方針を聞かれ、有名なアーティスト、あるいは興味深いアプローチで作品制作を行っているアーティストと協力していきたいと話した。
明確で興味深いコンセプトを持つNFTが生き残るだろう。この(NFTという)テクノロジーは、特にデジタルを基盤とするアーティストや、これまで作品を商品化する方法を持たなかったアーティストに、人生を変えるような可能性をもたらし得る。
ーRebekah Bowling氏
ブルームバーグによると、複製された新たなNFTが流通市場で二次販売される際にも、その価格の10%を作者Dowbak氏が受け取れるように設計されているという。
NFTは長所の一つとして、二次販売された時にも発行者がその額の一定の割合を受け取れるよう設定可能であることが知られている。
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