英財務省関係者 「相当数の仮想通貨企業がマネロン防止基準満たさず」

多くの仮想通貨関連企業がAML基準満たせず

英国財務省の関係者は、多くの暗号資産(仮想通貨)のスタートアップがマネーロンダリング防止(AML)基準を満たしていないと明かした。

金融行動監視機構(FCA)の審査プロセスに遅延が生じていることに関する質問が提出され、それに対する回答によって明らかになっている。

財務省の経済秘書であるJohn Glen氏は、質問を行ったPhilip Davies保守党議員に対し、多くの仮想通貨スタートアップがAMLの基準を満たせていない現状を明かした。

かなりの数の企業が適切かつ頑健なAML管理フレームワークの実装と、適切な人材の雇用を行えずにいる。

一時的な登録制度に遅れ

FCAは2020年の12月に、マネーロンダリング防止(AML)とテロ資金供与阻止(CTF)の観点から仮想通貨ビジネスに関する「一時的な登録制度」を設置している。

しかし、当初2021年1月10日に仮想通貨関連企業の登録の締め切りを設定してたものの、申請書の複雑さとその基準のため作業に遅延が生じたとしており、7月9日に期限が延長された。

具体的にはこれまで、FCAの介入により、申請を行った企業の9割以上が申請を取り下げたという。また、5月24日の時点で登録を終わらせた仮想通貨関連企業は僅か5つとなっており、その中には取引所Geminiの2つの関連会社も含まれている。

現在は167の企業がAML/CTFの登録を待っており、77の新しいスタートアップが登録の完全な評価を待っているとしている。

財務省は、1月7日に仮想通貨とステーブルコインの規制について、広く業界及び利害関係者に意見を求めるため、協議文書を発表した。

文書に対する意見の受付は既に終了しており、今後政府は、次のステップの概要を説明する予定だとしている。

海外事業者が撤退

3月、シンガポールを拠点とするグローバル仮想通貨取引所BybitがFCAの規制を受け、英国居住者へのすべてのサービスを停止して撤退する決定を発表した事例がある。

FCAは1月より、個人投資家に及ぶリスクの高さを理由に仮想通貨デリバティブの取引に対する禁止方針を実施し始めた。その後、多くの仮想通貨企業に向けて勧告メールを送信、ライセンス登録を申請していない企業が1月10日までに事業を停止する必要があると警告していたことも報じられた。

当時の報道では、「既存の仮想通貨企業は、2021年1月9日までにマネーロンダリング防止およびテロ対策資金調達の目的でFCAに登録する必要がある」と指摘され、未登録でサービスを提供し続ける場合「2021年1月10日から刑事犯罪を犯しているとみなされる可能性があり、FCAの刑事および民事執行権限の対象となるリスクがある」と説明された。

関連:取引所Bybit、イギリスから撤退──FCAの個人向け仮想通貨デリバティブ禁止令を受け

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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