バイナンスのCZ氏、コンセンサス登壇
最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのCZ(Changpeng Zhao)CEOは27日、大型ブロックチェーン・カンファレンス「コンセンサス」の最終日に登壇。ブロックチェーンの加速する普及や、バイナンスの事業戦略について語った。
2017年に頭角を現した仮想通貨取引所バイナンスは、2021年現在は豊富な取り扱い銘柄を背景に世界最大の出来高を誇り、全仮想通貨取引所の滞在時間の内5割を占めるとされる。直近では、NFTマーケットプレイス「バイナンスNFT」のローンチを発表した。
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登壇したCZ氏は「2017年は、新たな資金調達手段である「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」の台頭で数多くのアルトコインが現れた」とコメント。ブロックチェーン上で資金調達が可能になったことで、伝統金融商品と同じ手段に頼らずとも始動できるようになった意義は大きいとした。
その反面、参入障壁が下がった影響で詐欺プロジェクトも横行したと言及。スキャム的なプロジェクトは、複数年に渡る市場のサイクルを生き延びることはできないと指摘。長期的な視点を見据えた開発者は、相応の資金力と忍耐が必要だと述べた。
現在の仮想通貨情勢については、「DeFi(分散型金融)やNFTのフェーズ」が訪れているとの見解を示し、PancakeSwapなど、DeFiプロトコルの一大基盤として注目を集めるバイナンス・スマートチェーン(BSC)については、バイナンスとは独立したブロックチェーンでバイナンスの管轄下にはない(非中央集権)と明記。分散型であることを強調した。
さらに、イノベーションを重視するCZ氏は、グーグルなどを引き合いに、「メンバーにイノベーションの機会を多く提供することが、BSCなどの革新的なアイデアに至った」と説明。自身が考えたものではなく、自然に生まれたアイデアを試した結果であるとして、以下のように語った。
今後どうなるか私には予測できない。ただ、バイナンスでは、新たな試みに積極的にチャレンジするようにしている。
仮想通貨の利点
また、インタビューでは自身の経歴についても触れ、これまでの人生で「同じ場所に4年以上滞在したことは、ほとんどない」と発言。世界各国を渡り歩き、様々な文化や価値観に触れている人は、国際送金の利用の面からも仮想通貨に関心を持ちやすい傾向があると考察した。
ブロックチェーン界隈のキーマンは、香港やカナダなど様々な地域に在住している。仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマン・フリード氏(通称、SBF)は香港在住で、5月上旬には米仮想通貨取引所コインベースがサンフランシスコの企業HQ解散を発表した。
Coinbase is committed to being remote first. We announced we no longer have an HQ and as a next step, we’re closing our SF office (our former HQ) in 2022.
— Coinbase News (@CoinbaseNews) May 5, 2021
CZ氏は、仮想通貨の利点として、国際送金における利用の容易さのほか、最終的には「お金の自由」をもたらすとコメント。仮想通貨は「世界中のお金の動きを増やす新たなツール」であり、必ずしも各国の規制当局に敵対するものではないと述べた。
<CZ氏はバイナンスが仮想通貨のもたらす「お金の自由」を提供すると同時に、セキュリティや規制へのコンプライアンスを保つと言及。規制に準拠した形で事業を進めていく姿勢を改めて示した。
我々は政府には反対していない。ただ、規制やルールが定まっていない場所もあり、世界の多くの国々ではまだルールが策定段階でグレーな部分も多い。
政府などと協力して、そういった課題を解決していくべきだ。
仮想通貨は無くならない
CZ氏はeコマース大手アマゾンの事例を挙げ、「アマゾンは本の販売をインターネットで開始したが、ジェフ・ベゾス氏以外も同じアイデアを試すことは可能だった」と発言。同様に、仮想通貨は伝統金融業界を破壊するものではなく、「お金の自由」や新たな機能をもたらす技術である説明。以下のように総括した。
このような先進技術・コンセプトは、もはや5億人を超える世界中の人々の頭の中にあり、誰にも止めることはできないだろう。(仮想通貨・ブロックチェーン)を消すことはできない。