【リップル裁判】米SEC、XRPの有価証券性めぐる文書開示で、夏までの期限延長申請
さらに2ヶ月の開示期限延長を要請
暗号資産(仮想通貨)XRP(リップル)の有価証券問題をめぐる裁判で、米証券取引委員会(SEC)が、リップル側の証拠開示要求について、さらに2ヶ月の提出期限延長を要求している。対象となる文書の調査などに時間がかかるとする格好だ。
リップル側はSECの「ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、XRPに関する電子メールと内部文書」を開示するよう求めていたが、SECは6月11日までの回答期限延長を希望していた。今回、SECはさらに期限の延長を要請、8月中旬まで延ばすことを裁判所に申し出ている。
開示要求の背景
リップルが、こうした文書を要求している理由は、SECがこれまでXRPは「コモディティに該当するビットコインやイーサリアム」と異なると主張していたことに関係している。SECはXRPはビットコインなどと異なる「有価証券」であるとしていた一方で、SECがこれまでBTC・ETH・XRPについて発信してきた情報を公開する手続きは拒否してきた。
このことを背景としてリップル側は3月、裁判官に対して、関係する文書を引き渡すようSECに命じることを要請。裁判官宛て文書でリップル側は、SECが約10年間XRPの成長と発展を監視しながら「その販売が違法である可能性」について正式なガイダンスを発行していなかったと訴えている。
リップル社の弁護士は、SECが仮想通貨に対して偏った見方をしている可能性があり、その証拠があれば、リップル社が訴訟に勝利するのに役立つ可能性があるとしている。4月に裁判官はリップル側の開示要求を大部分認めた。
SECの主張
今回、SECは裁判所宛ての書簡で次のように述べた。
要求されている証拠開示の範囲が広い中、適用される秘匿特権についても慎重かつ誠実に判断することは、注意が必要とされ時間を要するプロセスだ。SECは、本命令で要求されている文書の特定、精査、記録などに多大なリソースを費やしている。
リップル側の弁護士は「SECは訴訟スケジュールを延長するために文書の作成を意図的に遅らせた」と非難し、6月18日までの情報開示を求めていた。
リップル側は、この訴訟は同社の「事業運営に対する大きな脅威」であるため、裁判所は開示スケジュールの延長を拒否すべきだと主張している。その際「現在の主要事業」として送金サービスのオンデマンド・リクイディティ(ODL)も挙げていた。
しかしSECは「リップル社の収益の大部分はXRPの販売によるもの」であり「ODLプラットフォームからは最小限の利益しか得ていない」と主張しており、さらなる延長を正当化している。
またSECは、リップル側が最近になってから追加の電子メール資料についても提出を要求してきたことなども期限の延長理由として挙げた。
一方でこの件について、リップル側の弁護士James K. Filan氏はSECが3ヶ月前の供述書を参照していることから「SECは該当文書を現在の期限までに調査するための十分な時間を有していたはずだ」とコメントした。
追記
6月14日の裁判書類によると、裁判官はSECの延長申請を許可し、「ファクトのディスカバリー(証拠開示の手続き)」の期限を8月31日と、「エキスパートディスカバリー」の期限を10月15日と設定したという。
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