JPモルガン「ビットコインの弱気相場は継続」 機関投資家の買い意欲の薄さを指摘
ビットコイン、中国マイニング業界の影響は
JPモルガンのアナリストは投資家向けレターで、ビットコインの中期的な価格帯は23,000ドル(約250万円)から35,000ドル(約390万円)になると予測している。
この予想は、ビットコインと金のボラティリティ(価格変動率)比率から推定されているという。デジタルゴールドとも呼ばれるビットコインと金は比較対象として頻繫に取り上げられる。
現在、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは弱気な相場が続いており、31,000ドルから40,000ドルの間を推移している。
弱気相場の要因の一つとされるビットコインのマイニングにおいて、中国で取り締まりが強化されていることについては、ビットコインにとって中・長期的にはポジティブであるとの見方を、JPモルガンのアナリストは示す。
中国におけるマイニング事業の取り締まりはビットコインのハッシュレートにおいて高いシェアからの脱却を加速し、集権性を低下させるため、中期的にはビットコインにとってプラスの要素と見なされる。
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中国のマイナーについては、取り締まりを受け、北米やカザフスタンなどへ移動していることが報じられている。
また、ビットコインが下落基調にあることについては、中国のマイニング取り締まりのみではなく、機関投資家の動きの弱さも指摘した。
仮想通貨の暴落から1カ月以上経過しているものの、ビットコインファンドは打撃を受け続けている。金(ゴールド)のETF(上場投資信託)への流入が止まった時でさえも。
このことは、上場しているビットコインファンド(投資信託など)やCMEビットコイン先物といった規制下の方法によって投資を行う機関投資家が、ビットコインの購入に意欲を示していないことを示唆している。
このほか、JPモルガンはビットコインに残るさらなる懸念についても触れた。それはグレースケールのビットコイン投資信託(GBTC)のロックアップ期間の終了のこと。
GBTCは、20年12月から21年1月にかけて40億ドル(約4,400億円)近くが流入した。しかし、その後、ロックアップ期間となる6ヶ月が過ぎようとしており、6月と7月にかけて、投資家が少なくとも同商品の一部を売却する可能性があると予測されている。
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これらを背景に、JPモルガンは、シグナルは全体的に弱気のままと結論付けている。
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