米マラソン社、ビットコインマイニングマシンを100億円超発注
新たに30,000台の購入契約
米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Marathon Digital Holdings(以下、マラソン)が、ビットコイン(BTC)マイニングマシンを新たに30,000台、ビットメインから購入することが分かった。1億2,070万ドル(約132億円)に相当する。
今回発注した30,000台のAntminer S19j Proは2022年1月から2022年6月の間に発送されると見積もられている。
すべての新たなマイニングマシンが追加された後には、マラソンは合計133,000台のマシンで、約13.3EH/s(エクサハッシュ/秒)のハッシュレートを生み出す予測だ。尚、1エクサハッシュは一秒間あたり100京回の計算能力を示す。
マラソンによると、仮に現在の状況で計算すれば、ビットコインネットワークの総ハッシュレート(8月1日時点で約109EH/s)の約12%を占めることになるという。
ハッシュレート
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
▶️仮想通貨用語集
マラソンは2020年12月にも、ビットメインと7万台のAntminerS19を購入する契約を結んでおり、2021年12月までに準備ができたものから順次受け取る見込みだ。今回の購入契約は、これに続く大規模発注となる。
マラソンのFred Thiel CEOは「すべてのマイニングマシンが完全に配備されると、当社の採掘事業は北米だけでなく世界でも最大規模になる」とコメント。
また、「現在のマイニング環境が例外的に有利な状況だと考えると、新しいマシンを追加するのに最適な時期だと考える」とも述べた。中国の取り締まりにより、ビットコインマイニングの地勢図が変化していることを背景とした発言と考えられる。
変化するマイニング地勢図
中国の自治体が、マイニング事業を次々と閉鎖する中、中国で事業を展開していた企業は自社のマシンを売却するか、あるいは海外移転などの対応を迫られているところだ。一方、中国以外の企業は、ビットコインネットワークのブロック報酬について、より大きなシェアを享受している。
マラソンのように事業拡大を進めている企業も多く、米Riot Blockchainも4月にマイニングマシンの大規模発注を発表。ビットメインと1億3,850万ドル(約151億円)相当、42,000台のAntMiner S19jの購入契約を結んでおり、2022年10月頃までに配送される予定だとしている。
これらのマシンが完全に稼働すれば同社は7.7 EH/sの計算能力を所有することになるという。
上図は、中国国外で事業を展開している、あるいは事業を開始する予定の主なマイニング企業である(仮想通貨を自社でマイニングする企業、顧客向けにマイニングマシンをホストする企業の両方を含む)。
このうち11社が現在中国以外で事業を展開する上場企業である(Riot、Marathon、Bitfarm、Hut8、Argo、Hive、CleanSpark、DMG Blockchain、Mawson、Galaxy Digital、TeraWulf)。ほとんどは、米国、カナダ、英国のいずれかに上場している。
この中で、例えばCanaanは最近カザフスタンにも拠点を築いた。中国での取り締まり強化の後、初の海外サービスセンターをカザフスタンで開設、同国での仮想通貨マイニング事業も開始している。
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