米SECがDeFiを装ったプロジェクトと和解、未登録証券の販売で
「DeFi Money Market」を起訴・和解
米証券取引委員会(SEC)が、DeFi(分散型金融)プロジェクトと称して未登録の有価証券を販売していたとして、「DeFi Money Market」を起訴し和解したことを発表した。
SECのHester Peirce委員によると、このプロジェクトはDeFiを称していたものの、実態としては分散されていない運営方法であったという。
DeFi(分散型金融)
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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起訴の経緯
SECによると、プロジェクト運営者Gregory Keough氏とDerek Acree氏は2020年2月から2021年2月にかけて、有価証券とされる「mToken」と「DMGトークン」を3,100万ドル(34億円)以上、未登録のまま販売した。またDeFi Money Marketの運営や収益性に関して投資家を欺いていたという。
mTokenについては、自動車ローンのような実物資産に投資することで6%を超えるリターンを投資家に還元すると説明。またDMGトークンは、その保有者に議決権、超過利益の分配、トークン転売から利益を得る機会などを与える、ガバナンストークンとして宣伝していた。
運営者は、トークンの販売を始めてから、トークン購入に使われる暗号資産(仮想通貨)の価格変動により、投資家に元本を償還することができないリスクがあることに気付いたが、そのことを投資家に明かさなかった。
また、DeFi Money Marketが自動車ローンを購入したと掲げていたが、実際には購入していない。その代わりに、運営者個人の資金と、彼らが管理する別会社の資金を使って、mToken償還のための支払いに充てていた格好だ。
DeFi Money Marketの運営者二人は、SECの調査結果を認めることも否定することもなかったが、不当に得た利益12,849,354ドル(約14億円)の償還と一人当たり罰金125,000ドル(約1,400万円)を支払い、及び事業停止することに同意しSECと和解した。
また、この命令が出される前に、運営者らはDeFi Money Marketに資金を投入し、mToken保有者がすべての元本と利息を受け取れるようにしているという。
DeFiを注視する米SEC
今回のプロジェクトは「DeFi」を銘打っているが、実際の運用は運営者によりコントロールされており、分散型ではないものだった。一方で、SECは昨夏から急成長してきたDeFiセクターについて注視を始めている。
米SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は、8月3日に仮想通貨規制のあり方について話し、立法上の優先事項として「仮想通貨取引、レンディング、DeFiプラットフォーム」を挙げた。
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