はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

米CFTC委員「SEC(証券取引委員会)は、仮想通貨など商品に対する権限は持たない」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨規制の管轄は

米商品先物取引委員会(CFTC)のブライアン・クインテンツ委員は、証券取引委員会(SEC)に暗号資産(仮想通貨)に対する権限はないと発言した。

ここではっきりさせておきたいのは、その商品が小麦であれ、金であれ、石油であれ、暗号資産であれ、SECには、純粋な商品やその取引所に対しては、何の権限もないと言うことだ。

クインテンツ委員のツイートは、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長が、今週行なった講演で、「仮想通貨の大半は、有価証券に該当する可能性がある」との発言を受けたもの。ゲンスラー委員長は、証券市場の監督責任を負うSECに、仮想通貨規制に対する拡大した権限が付与されるべきだと主張していた。

関連:米SECゲンスラー委員長「現在流通する仮想通貨の大半は、証券法対象となる可能性がある」

また、米下院農業委員会の共和党議員は、クインテンツ委員の発言をリツイートし、「クインテンツ委員は正しい。仮想通貨はSECよりも大きい」と述べた。さらに、下院が「投資家とデジタル経済の技術革新を保護するため」のルールを作成するべきだと付け加えた。

さらにクリス・ジャンカルロ前CFTC委員長も、クインテンツ委員を支持する立場を表明している。

ビットコインと仮想通貨市場の規制経験を持つ唯一の米国の規制機関は、SECではなくCFTCだ。

ジャンカルロ氏は在任中、柔軟な仮想通貨規制を訴え「仮想通貨の父」(Crypto Dad)として業界から親しまれた人物。現在は、非営利団体デジタルドル財団の共同設立者として、米国における中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究開発を支援している。

同氏は、バイデン政権が「良識ある仮想通貨規制」に真剣に取り組むつもりがあるのなら、CTFCの委員長を指名すべきだと付け加えた。CFTC委員長は大統領が任命し上院の承認を必要とするが、現在、5月に退任したヒース・ターバート(Heath Tarbert)前委員長の後継者は、まだ指名されていない。

CFTCとは

CFTC(商品先物取引委員会)とは、商品取引所に上場する商品や金利、デリバティブ全般など、米国の先物取引市場を監督する機関。

▶️仮想通貨用語集

ビットコインとイーサリアムの分類を明確化

仮想通貨に対する「唯一の規制経験」をCFTCが主張する理由の一つには、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の規制上の扱いについて明確な指針を示した経緯があるからだろう。

CFTCは2015年より「ビットコインはコモディティ」との判断を主張しており、2017年にはビットコインの先物取引を開始した。2018年3月には、ニューヨーク連邦裁判所がCFTCの定義を支持し、CFTCがビットコインの規制当局としての権限を有するとの判断を下した。この司法判断により、米国におけるビットコインの法的地位が確立し、ビットコインに対する規制が明確化したと言える。

関連:「仮想通貨はコモディティ(商品)」CFCTの判例が示す仮想通貨規制の道筋

2019年10月、ターバート前委員長はイーサリアムはコモディティであるとの見解を明らかしている。また、同氏はビットコインとイーサリアムについては、SECも証券でないと判断に同意していると発言した。

このような経緯から、ビットコインとイーサリアムについては、有価証券に該当しないとの評価が定まってきたようだ。

ビットコインについては、ゲンスラー委員長も先の講演で「サトシ・ナカモトのイノベーションは本物」であり、「金融と通貨の分野で変化の触媒となっている」と述べ、高く評価している。

規制当局間の連携は可能か

米国における仮想通貨規制は、今回のクインテンツ委員らの発言にも見られるように、規制当局の管轄に関しても曖昧さが残ると言う問題を抱えているようだ。

CFTCのドーン・スタンプ(Dawn Stump)委員は、規制機関ごとに、監督を行う範囲が定められていると指摘している。

関連:「創造的な試みを可能にすべき」米CFTCコミッショナー、仮想通貨規制を語る

例えば、CFTCはデリバティブ取引所bitMEXに対し、マネーロンダリング対策や本人確認要件を怠り、未登録のプラットフォームを運営したとして訴訟を起こしている。一方、SECは様々な仮装通貨プラットフォームが行なったICOを証券法違反で訴え、多額の罰金を科してきた。米リップル社に対する訴訟は現在も継続中である。

CFTCは昨年、仮想通貨を「21世紀のコモディティ」とみなし、2024年までに市場の健全な発展を促す規制を確立する計画を発表した。その中で、多様なトークンの分類に関しては、SECの判断も欠かせないと示唆している。そのため、両当局の緊密な連携が進まない限り、米国での明確な規制の枠組みづくりは困難だろう。

関連:「健全な発展を促す仮想通貨規制 米CFTCが2024年までに確立へ

新たな規制法案が提出

今週、米国連邦議会に提出された新たな仮想通貨規制法案は、CFTCとSECの管轄領域をより明確にするとともに、連携を促す内容が含まれているようだ。

ドン・ベイヤー下院議員によって提出された法案「デジタル資産市場構造と投資家保護法」(Digital Asset Market Structure and Investor Protection Act)では、SECにデジタル資産証券に関する権限を、CFTCにデジタル資産に関する権限を与えるとしている。

そのため、仮想通貨市場の時価総額および取引量で上位90%のトークンに関しては、SECとCFTCが共同で規則を作成するものとし、仮想通貨の分類に法的な明確性を提供するというものだ。

米国における効果的な仮想通貨規制整備に、両機関の連携が欠かせないことは明らかだ。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/04 金曜日
11:00
アルトコイン取引の増加傾向続く 仮想通貨OTCレポートが公開
Finery Marketsは、仮想通貨のOTC取引に関する2025年上半期のレポートを公開。ビットコインやイーサリアム、ステーブルコインの他にアルトコインの取引が増加傾向を継続していると指摘した。
10:35
「1兆ドル予測は楽観的すぎた」、 JPモルガン ステーブルコイン時価総額の2028年予測を下方修正=報道
JPモルガンはステーブルコイン市場の2028年予測を5000億ドルとし、他社の1-4兆ドル予測を否定。決済利用は6%に留まり、主用途は仮想通貨取引と指摘。
10:00
ビットコイン、クジラによる売却と機関投資家の需要が拮抗=報道
仮想通貨ビットコインの大口保有者が過去1年で50万BTCを売却する一方、機関投資家の需要増加により価格が膠着している。今後のビットコイン価格については様々な見解がみられる。
09:30
ロビンフッドCEO OpenAI株式トークン化を「革命の種」と表現も、提携否定で波紋広がる
ロビンフッドがOpenAI株式トークン化サービスを欧州で開始したが、OpenAIは提携を否定。テネフCEOは「トークン化革命」と強調するも、未上場株式の権利問題が浮き彫りに。
09:16
仮想通貨SEI、国内取引所OKJに新規上場へ
国内暗号資産取引所OKJが2025年7月8日からセイ(SEI)の取扱いを開始。ゴールドマンサックス・Robinhood出身者が開発した高速ブロックチェーンで、米国でETF申請も話題。入出庫は7月8日、売買は7月11日17時開始予定。
09:00
ビットコイン今年4度目11万ドル超え、株価相関強まり最高値更新も視野に|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは3日に今年4度目となる一時11万ドル突破を記録した。7月3日から4日にかけて、トランプ政権の大きく美しい法案が可決されたことに加え、米雇用統計が底堅い推移を示したこと、さらにシンシア上院議員が暗号資産の減税法案を提出したことが追い風となった。
08:05
ETF購入減速でビットコイン価格上昇に陰りか、ETHは蓄積量が過去最高に=Cryptoquant分析
仮想通貨ビットコインETFとMSTR(ストラテジー)の購入は大幅減速、全体需要の縮小で価格上昇が鈍化。一方、イーサリアムは6月に蓄積アドレスが史上最高を記録、機関投資家による大量保有が続く。
07:45
米下院、7月14日の週を「仮想通貨週間」と指定 3つの主要法案を審議
米下院指導部が7月14日の週を「仮想通貨週間」に指定し、GENIUS法、CLARITY法、反CBDC監視国家法を審議すると発表。
07:25
IMF、パキスタンの仮想通貨採掘などへの補助金提供提案を却下
IMFは、パキスタン政府による仮想通貨マイニングなどのための電気代補助提案を却下。同国は、ビットコインのマイニングとAIのデータセンター向けに2,000MWの電力を割り当てる計画を発表している。
07:20
ビットコイン今後の価格、9.5万ドルまで下落の可能性も=アーサー・ヘイズ分析
仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏は、8月のジャクソンホール会議まで市場が横ばいか軟調な展開を予想。TGA補充の影響でビットコインが9万~9.5万ドルまで下落する可能性があるという。
06:30
米国初のソラナ現物ETF、取引開始初日で出来高約48億円の好スタート
「REXオスプレイ・ソラナ・ステーキングETF」が7月3日に取引開始。米国初のステーキング機能付き仮想通貨現物ETFとして約100万ドルの運用資産で滑り出し。
06:10
米上場ナノ・ラボ、72億円で仮想通貨BNB追加購入
ナスダック上場のナノ・ラボが74,315BNBを約5000万ドルで購入。総額5億ドルの転換社債プログラム第1弾として、BNB流通量の5-10%保有を目指す。
05:50
上場企業の仮想通貨トレジャリー戦略に警鐘、F・テンプルトンが「負の連鎖」リスク指摘
フランクリン・テンプルトンのアナリストが流行する企業の仮想通貨トレジャリー戦略について分析。プレミアム維持の困難さと市場下落時の負の連鎖リスクに警告。
05:35
ルミス議員、仮想通貨税制改正法案を再提出 300ドル未満取引の免税など盛り込む
ルミス上院議員が仮想通貨税制改正法案を再提出。300ドル未満の小額取引免税、マイニング・ステーキング報酬の二重課税解消など包括的な改正を提案。
07/03 木曜日
18:23
Aptos LabsがYellow Cardと提携、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金開始 
Aptos LabsとYellow Cardが提携し、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金サービスを開始した。USDT・USDC対応で即時決済を実現し、数百万人のユーザーがステーブルコインをより迅速かつ手頃な価格で利用できるようになった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧