「ビットコインETFの承認は有益」
米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長は、ビットコイン(BTC)ETFを承認することが投資家にとっても規制当局にとっても有益だという主張をBloombergのコラム記事にて発表した。暗号資産(仮想通貨)ETF承認に際して、米証券取引委員会(SEC)が仮想通貨取引所に義務を課すことで、業界の透明性や投資家保護などを向上させることができると議論している。
ビットコインETF
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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この意見を発表したTimothy Massad氏は、2014年から2017年までCFTC委員長を務めていた人物だ。
まず、ビットコインETFの実現可能性とスケジュールについてMassad氏は、仮想通貨ETFが承認されるのは「米国議会が仮想通貨規制を全般的に強化した後であることが望ましい」としつつ、そうしたことが短期的に行われる可能性は低いと言及。
ただ、次善の策としては、「証券取引委員会(SEC)が仮想通貨業界の透明性と整合性を高めることを条件として、ETFを承認すること」だと述べた。
現時点での課題として挙げたのは、仮想通貨取引所が十分に規制されていない点だ。Massad氏は、詐欺や市場操作など不正行為を防止するためのルールがなく、情報開示や報告の義務、利益相反行為を禁止するルールもない点から、米国内でビットコインETFを推し進めることのハードルになると指摘する。
業界の信頼性を向上
一方で、ビットコインETFを承認しようとする動きは、こういった未整備の状況を改善することにも繋がるメリットもあると語る。Massad氏は、ビットコインETFの価格が一定の基準を満たす取引所の指標に基づくことを条件に、そのETFを承認するべきだと提唱。以下のように説明した。
(ETF承認の条件とする)こうした基準には、情報開示、不正行為の防止、利益相反の禁止、リスク管理、セキュリティなどに関する基準を組み込むことが出来る。
それによって、取引所においてこうした基準を取り入れようという市場インセンティブが生まれる。また、将来の仮想通貨法案の土台にもなるだろう。
Massad氏は、金融市場を規制する上で規制当局は特定の資産の是非についての判断をせず、「市場の透明性と健全性を確保して、投資家に独自の判断をさせるべきだ」とも続けた。
米ではビットコインETF未承認
米国ではまだビットコインETFが承認された例はない。最近では大手ヘッジファンドARK InvestmentがビットコインETFを申請した。現在提出されている申請の中では、VaneckのETFが一番先(11月頃)に最終期限に達する見込みで、承認の有無について最終回答が得る見込みだ。
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仮想通貨を支持することで知られるSECのHester Peirceコミッショナーは「SECがビットコインETFを承認しないのはダブルスタンダード」であると、米メディアCNBCのインタビューで語った。
Peirce氏は「従来の株式ベースの商品と同様の基準を適用していれば、すでにSECは1つ以上のビットコインETF商品を承認していただろう」と主張。仮想通貨関連の申請について、通常よりも高度な基準が採用されることは不当だと訴えた。