仮想通貨機関投資家も多いシンガポール、人気銘柄や投資戦略は?
米Geminiが意識調査を実施
米暗号資産(仮想通貨)取引所Geminiが、シンガポールで仮想通貨に関する意識調査を実施。回答したシンガポール人の3分の2以上がポートフォリオに仮想通貨を加えていることが判明した。人気銘柄や投資を後押しする要因についても調査を行っている。
調査対象は、18歳から65歳のシンガポール在住の成人4,348人で、金融商品や投資に興味を持っている、またはすでに投資している層だ。調査期間は、2021年6月29日から7月9日までだった。
アンケート回答者のうち、2,862人が仮想通貨を保有していた。仮想通貨投資家の約80%が男性で、34歳以下の割合も約80%である。女性の割合は5人に1人だった。Geminiによると「平均的」な仮想通貨保有者の像は「29歳の男性、平均年間世帯収入は約51,968シンガポールドル(約420万円)」だという。
また、シンガポールは、多くの仮想通貨投資企業が拠点とする国。Three Arrows CapitalやSpartan Group、CMC Capitalなど代表的な仮想通貨機関投資家もシンガポールで運営しており、特にDeFi分野に注力していることから、注目される銘柄は業界を代表するものと見られる。
人気銘柄や投資戦略
保有銘柄としては、イーサリアム(ETH)がビットコイン(BTC)を抑えて人気が一番高かった。2,862人中、2,236人がイーサリアムを保有。二番目に人気なのはビットコインで、保有者は1,975人である。
3位はカルダノ(ADA)で1,141人、以降、4位バイナンスコイン(BNB)、5位に同率でXRP(リップル)とテザー(USDT)と続いている。
アンケート回答者のうち、仮想通貨を保有していると回答した人の64%が、仮想通貨はポートフォリオの5%以上を占めると回答しており、18~24歳の年齢層の人の20%は、仮想通貨がポートフォリオの50%以上であるとした。また、35~44歳の年齢層の46%は仮想通貨に1万ドル(約100万円)を投資している。
また、仮想通貨保有者のうち、67%は新型コロナウイルスのパンデミック下で仮想通貨への投資額を増やしていた。Geminiはこの理由として、「金融デジタル化が進み、投資家が仮想通貨についての知識を深めていること」「インフレヘッジの手段と考える人がいること」「旅行できないことによる可処分所得増加」が考えられると推測している。
仮想通貨保有者が仮想通貨を購入した1番の理由は長期保有だった。81%の保有者が、「バイ・アンド・ホールド」するために購入したと述べている。「トレードして利益を得るため」とした人々は約59%、「仮想通貨を預けて利子を稼ぐサービスを利用するため」とした人々は約43%だった。
バイ・アンド・ホールド
英語でBuy and hold。投資家が証券や仮想通貨など資産を購入後、長期に渡って保有し続ける投資戦略。短期的な価格変動(ボラティリティ)よりも、長期的な資産成長を考慮に入れてリターンを得ようとする考え方である。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨投資を促す要因は?
仮想通貨を保有していない人々の27%が、今後1年間の仮想通貨価格について強気の見通しを持っていた。一方で、仮想通貨に今後1年で投資する可能性が非常に高いと回答したのは、15%のみである。
仮想通貨投資をためらわせる理由としては、「知識や理解の欠如」(約69%)が最も多く、「ボラティリティ(価格変動)の大きさ」(約52%)、「リスクの高さ」(約45%)、「規制や投資家保護の欠如」(約43%)と続いた。
また、仮想通貨投資を始めることを後押しするものとしては「投資しやすい価格になること」(約76%)、「投資家保護の改善」(約59%)、「取引所などが行う魅力的なキャンペーン」(約50%)、「イールドファーミングにおける利子率の高さ」(約34%)が挙げられた。
イールドファーミング
レンディングやDEX(分散型取引所)などのDeFiサービスに資産を貸し出す又は提供することで、金利や手数料収入を得る運用モデルのこと。イールドは”利回り”、ファームは”耕す”を意味する。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します