ブテリン氏が新たな改善案、イーサリアムのGas代削減にフォーカス

ロールアップのコスト削減で対応

イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は25日、高騰するイーサリアムのガス代(ネットワーク手数料)を引き下げる短期的な対応策として、L2ソリューションであるロールアップのコスト削減案「EIP-4488」を発表した。

ロールアップは、データをオフチェーンで処理するイーサリアムのスケーリングソリューション(主にZKロールアップとOptimisticロールアップがある)。EIP-4488は、トランザクション・コールデータのガス代削減と、1ブロック内のトランザクション・コールデータの総量に制限を設ける提案となっている。

コールデータの容量を理論上最大のスロットあたり約1メガバイトまで増やすことで、ロールアップのコストを1/5程度削減できると見込んでいるという。

レイヤー2とは

レイヤー2とは、「2層目」のブロックチェーンのこと。取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上が期待できる。

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レイヤー1とレイヤー2のコスト差

イーサリアムのベースレイヤー(L1、メインチェーン) とセカンドレイヤー(L2)の手数料の差は歴然としている。

イーサリアムの送金手数料の比較サイトl2fees.infoで、さまざまなチェーンの手数料を確認できるが、OptimisticロールアップではL1の1/3~1/8、ZKロールアップでは1/40~1/100の手数料が提示されている。

セキュリティとの兼ね合い

コールデータの総量に制限を設けないというオプションもあるが、ネットワークのセキュリティ上の問題が生じるとブテリン氏は指摘。現在の平均的ブロックサイズは60~90キロバイトだが、コールデータのガス代を16から3に減らすと、最大ブロックサイズは10メガバイトになってしまうという。

同氏は数年前に500キロバイトのブロックサイズのテストが行われたが、ブートストラップノードがダウンしたという事例に言及。10メガバイトレベルになると、イーサリアムのP2Pネットワークレイヤーに多大な負担を強いることに繋がり、「ネットワークを破壊する危険性」があると警鐘を鳴らしている。

ブテリン氏は1.5メガバイトであれば、ほとんどのセキュリテイリスクを防ぎつつ、コスト削減のためには十分な効果が得られるだろうと主張している。

アップグレードの必要性

ブテリン氏の提案が承認された場合、ネットワークは定期的なアップグレードが必要になるという。しかし、ユーザーへの影響はなく、マイナーにとってもコールデータの総量が最大値に達した際に、新規のトランザクションが追加できなくなるというルール以外には、特に大きな変更もないと同氏は説明した。

一方、イーサリアムコミュニティでは、ソフトリミットの導入やブロックサイズ全体への制限など、他の選択肢についても検討しているようだ。

関連:イーサリアムL2「ZKロールアップ」開発のStarkWare、57億円調達

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