「仮想通貨は加速度的に普及へ」=米ウェルス・ファーゴ銀レポート
ハイパーアダプション間近か
米金融大手ウェルス・ファーゴ銀行の投資アドバイス部門、「Wells Fargo Investment Institute」(WFII)は7日、「暗号資産(仮想通貨)ー早すぎる、それとも遅すぎる?」と題したレポートを公開。今日の仮想通貨の普及状況は、1990年代のインターネットと類似しているとの見方を示し、まもなく加速度的に採用が進む「ハイパーアダプション」と呼ばれる変曲点に入る可能性があると主張した。
一方、新たな技術分野へ初期段階で投資するのは、ドッドコム・バブルのように「大相場と崩壊」のサイクルに見舞われる恐れもあると指摘。仮想通貨は今日「有効な投資対象」と考えられるが、投資環境が成熟していないため、しばらくは慎重なアプローチを取るよう助言した。
投資するには遅すぎるのか
WFIIのグローバル投資戦略チームは、ビットコインが「年率216%の複利」で運用されるなど、「過去10年間で最高のパフォーマンスを記録した」資産クラスである仮想通貨への投資はすでに遅すぎるのではという議論に対して、異論を唱えている。
まず、殆どの仮想通貨は実質ゼロから発展してきたため、パフォーマンスの数字が極端になってしまうこと、新しい投資分野であるため変動率が高いこと、また技術が複雑で理解しにくいため、投資判断が難しいことなどを、その理由に挙げた。
しかし、仮想通貨投資は、現在「早いが、早すぎることはない」段階にきていると、WFIIは捉えている。その背景には、世界的に見た仮想通貨の普及率が急速に高まっていることがあるようだ。
インターネットとの類似性
歴史的に見ると、先進技術の普及には、ゆっくりとした導入から始まり、変曲点を経ると一気に普及が加速するという一定のパターンがあるという。
1983年に発明されたインターネットの場合、1995年時点では、米国人の14 %(世界では1%未満)の普及率だったという。しかし、技術の普及は、採用率が上昇し始めると後戻りしないポイントがあると指摘。インターネットでは、そのポイントが1990年半ばから後半にかけてであり、1996年に7,700万人だった利用者は2000年には4億1,200万人に急増。2010年には19億8,000万人、現在では49億人となっているという。
Crypto.comによると、現在の仮想通貨の利用者の割合は世界のおよそ3%に当たるが、これがインターネットの初期の普及率に類似しているとWFIIは考えている。
さらに、20世紀に普及した電気やラジオ、カラーテレビなどに比べ、インターネットは普及の転換点を経過すると、加速度的に普及したこと、またスマートフォンやWiFiなどの新たなデジタル技術にも同様の傾向があることを指摘した。
仮想通貨の場合、世界のユーザー数は1億人だった2021年1月から、6月には2倍以上の2億2,100万人へと急激に増加した。(Crypto.com調査)そのため、WFIIは仮想通貨の普及が、加速度的に高まる時が近づいているのではないかと見ている。
この傾向が続けば、仮想通貨はまもなく初期の採用段階を終え、他のテクノロジーと同じように、ハイパーアダプションという変曲点に突入する可能性がある。
規制整備
仮想通貨の普及を後押しするもう一つの要因は、規制整備が進みつつあることだとWFIIは指摘した。仮想通貨関連の法律や規制の枠組みが作られるのは、業界が成熟しつつある証であり、仮想通貨が投資可能な資産として認識され始めた結果だという。
しかし、仮想通貨全体の時価総額は米Apple社にも及ばない規模であること、投資のオプションが限られていることから、仮想通貨投資を急ぐ必要なないとWFIIは述べた。唯一勧められるのは、プロが管理する私募ファンドのみだという。それ以外の場合は、ドットコムバブルに思いを馳せ、慎重を期するように忠告している。
今年、規制がより明確になることで、質の高い投資オプションが生まれることに期待するとレポートは結んだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します