ポルカドットがアップグレード、パラチェーン間の直接通信が有効に
Polkadotのマルチチェーン・エコシステム
ポルカドット(DOT)は4日、アップグレード「v0.9.19」を実装。これにより、Polkadotベースのブロックチェーン間で各種データや暗号資産(仮想通貨)の直接通信機能が有効になった。
アップグレードの一環で、Polkadotにネットワーク間の通信プロトコルである「XCM(cross-consensus messaging format)」が導入された。XCMはPolkadotのネットワークに接続する個別のブロックチェーン(パラチェーン)間で、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)だけでなく、スマートコントラクトやdApps(分散型アプリ)、各種モジュール間の通信も可能にする。
Polkadotでは昨年12月に5つ(Acala、Moonbeam、Astar、Parallel Finance、Clover)のパラチェーンが稼働を開始していた。Polkadotのディレクトリサイト「Parachains.info」によると、現在Polkadot上に14のパラチェーン、116のプロジェクトが登録されている(執筆時点)。
XCMの実装により、ユーザーはパラチェーン間で簡単にトークンやNFTを移動して、DeFi(分散型金融)やGameFi(ゲーム+金融)等のアプリケーションを利用できるようになる。Polkadotのリード開発者のShawn Tabrizi氏は、Coinpost提携メディアThe Blockに以下の様に語っている。
クロスチェーンメッセージングプロトコルが有効になったことで、Polkadotは完全に相互運用可能なマルチチェーン・エコシステムになるという目的を達成した。
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XCMはPolkadotネットワークの中心でセキュリティレイヤーを提供する「Relay Chain」に実装されたため、個別の接続先の脆弱性に影響されることはないという。Polkadot上でスマートコントラクトサービスを提供するAstar NetworkのHoon Kim CTO(最高技術責任者)は、以下のように述べている。
XCMによって、切れ切れのブリッジよりもはるかに優れた、安定性と信頼性の高いチェーン間メッセージングチャネルを手に入れた。
Polkadotでは将来的に「XCMP(Cross-Chain Message Passing)」のリリースが予定されており、Relay Chainに保存せず、直接パラチェーン間で仮想通貨を送信できるようになるという。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します