英仮想通貨マイニング企業Argo、米テキサス州の新拠点完成
Argo Blockchainの新拠点
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のマイニング事業を行う英Argo Blockchain社は5日、米テキサス州のマイニング施設「Helios」の完成を発表した。この新拠点には電気が通じており、来週にはマイニング業務が開始される予定だ。
昨年9月にビットメインより購入したマイニングマシン「S19J Pro」20,000台の配送と設置が開始されているところで、5月から9月の間に配備が完了する見込みだという。
また、米マイニング大手Core Scientificとの交換契約により入手したマイニングマシンの設置も始めたと報告している。
Argoは3月、Core Scientificが、Argoの分としてホスティングしているAntminer S19シリーズのビットコイン・マイニングマシンと、Core Scientificが新たに発注したS19J Proシリーズのマシンを差し替え、新規納入分を直接に、Argoの施設に納入する契約を結んでいた。
これにより、Argoは他社に預けているマイニングマシンがなくなり、すべて自社で所有・運営する形になる。
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公式発表によると、2022年末までに、この新拠点「Helios」は200メガワットの電力を使用し、Argoの総ハッシュレートを243%増加させて、5.5エクサハッシュ/秒(EH/s)にする見込みだ。EH/sは、1秒間に100京回の演算ができる能力である。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる
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この新拠点は、600メガワットまで電力容量を増やすことも可能で、今後数年の内に、Argoは施設をさらに開発して、その容量を使用できるようにするという。その暁には、同社のハッシュレートは20EH/s以上に到達可能となると見積もられている。
Argoのピーター・ウォールCEOは、次のようにコメントした。
当社は、事業規模を大きく拡大しインフラを強化し続けているところで、「Helios」の開設は重要なステップとなる。今後も、Argoの持続的な成長を実現するために動いていく。
マイニングマシンを担保に追加融資
Argoは4日、「Helios」へマイニングマシンを設置するための資本増強として、米仮想通貨投資企業NYDIGから約92億円(約7,100万ドル)の追加融資を受けることも発表していた。
この融資は、「Helios」に導入されるマイニングマシンを担保としている点も特徴的だ。融資は22年4月から7月にかけて順次行われ、24年の5月から8月までを返済期限としている。利率は12%だ。
Argoは、英国ロンドンに本社を置いており、テキサス州の他、カナダのケベック州に2つの施設を所有している。ロンドン証券取引所に上場しており、水力発電などクリーンエネルギーを利用したマイニングにも力を入れているところだ。
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収益報告
Argoが4月に発表した業績報告によると、2021年に同社の収益は、前年比291%増の総額約131億円(約1億ドル)に達した。「ハッシュレートの大幅な増加」、「ビットコインネットワークの難易度の一時的な低下」「2021年のビットコイン価格の上昇」が背景にあるという。
EBITDA(利子・税の支払い前、減価償却費控除前の利益)は、594%増の約92億円(約7,100万ドル)だった。
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