カナダのデータセンターを購入
仮想通貨マイニング事業を手掛ける英Argo Blockchainは、カナダ東部のケベック州にある2つのデータセンターの買収を発表した。Argoはロンドン証券取引所に上場しており、北米地域における事業拡大の一環と見られる。
データセンターは合計20MW(メガワット)の容量を擁しているとされ、Argoのマイニング機器の多くを収容する。気温が低いことで知られるケベック州に位置するデータセンターは、水力発電から電力を供給している。
ケベック州では大部分の電力需要が水力発電から発生しており、安価な電力コストを誇るほか、気温の低さも相まってマイニング業者に注目されている。また、水力発電は環境負荷の少ない「再生可能エネルギー」に該当する。
Argoは3月にも、マイニングに活用する目的で電力コストの安いことで知られる米テキサス州で320エーカー(約1.3平方km)の土地を購入。北米での仮想通貨採掘事業を拡大する動きが再び見られた格好だ。
グリーンなマイニングを推進
Argoはビットコインのマイニングが環境に悪影響を与えているという絶えない批判に対し、「グリーンマイニングビジョン」を打ち出している。これには、水力発電などグリーンな発電設備からマイニングに使用する電力を供給することなどが含まれる。
取り組みの一環として、同社は2021年3月、カナダを拠点とするDMGBlockchain Solutionsと提携し「TerraPool」と名付けられたマイニングプール事業を発表。同プールは主に水力発電の電力を使用していることが特徴で、ビットコインなどのマイニングが環境に与える影響を減らすことが目的だ。
Argo Blockchainのピーター・ウォールCEOは、「カナダでデータセンターを購入したことは、マイニングをより細かく管理するだけでなく、長期的な成長に向けた確固たる基盤を築くことを目指しており、会社にとってもう一つのマイルストーンとなる」と語った。
EV大手のテスラ社は13日、急遽決済手段としてのビットコイン利用を停止することを発表。仮想通貨マイニングが「化石燃料の使用」を拡大させる懸念が主な要因として挙げられていた。
テスラ社は、ビットコインのシステムを支えるマイニングシステムが持続可能なエネルギーを中心とした活動に移行すれば、トランザクションの利用を再開するとしており、仮想通貨マイニングの環境への影響に関する議論が再び加熱している。