テラ(LUNA)暴落の影響か、Venus Protocolで約18億円の損失
価格オラクルの隙をつく
暗号資産(仮想通貨)テラ(LUNA)の連日の暴落は、DeFi(分散型金融)シーンにも影響を及ぼしている。Venus Protocolでは、Chainlinkの価格フィードが停止した影響で18億円(1,350万ドル)相当の資産が奪われた。
Venus Protocol(XVS)は預入総額(TVL)約1,300億円のレンディングプロトコルで、BNBチェーン上でPancakeSwapに次ぐ第2位の規模。13日付の同社のリリースによると、攻撃は分散型オラクルChainlinkの価格フィードが「一時停止」した隙を突いて実行されたと説明されている。
リリースによると、13日にLUNAの市場価格が0.01ドルまで下落した時、Chainlinkの価格フィードでは0.107ドルと表示されていた。この状況下で2つのアドレスが2億3,000万LUNA(当時の実勢価格:約3億円)を預け入れ、担保評価額30億円(Chainlinkフィード・ベース)で計18億円相当の資産を借り入れたという。
攻撃者は、担保資産はそのままに借り入れた資産の持ち逃げを図る格好だ。
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Chainlinkのサーキットブレーカー
実際のところ、Chainlinkでは不安定なLUNAの価格動向に対してサーキットブレイカー(一時中断)が発動し、その旨をプロジェクト関係者に告知していたことが分かっている。Venus Protocolは速やかにそれに応じず、通常通りオペレーションを続けていたようだ。
Venus Protocolは、執筆時点にLUNAのレンディング市場を一時停止する処置を取っている。また自前の保険基金を財源に、本件による不足分を補填すると述べている。
Chainlinkの価格フィードは、DeFi(分散型金融)市場の実質的な業界標準となっている。多くのブロックチェーンとレイヤー2ネットワーク上で、Aave、Compound、dYdX、Synthetixnなど数百種類のDeFiアプリケーションに使用されている。22年5月13日時点に、Chainlinkの価格フィードを使用するアプリケーションのTVLの総額は約8兆円(643億ドル)に上る。
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