イーサリアム、Ropstenテストネットの「The Merge」実行間近に
The Mergeのリハーサル
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のパブリックテストネット「Ropsten」において、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を導入する「The Merge(ザ・マージ)」の実施予定日が迫っている。
イーサリアムの公式ブログポストによると、Ropstenでのマージはハッシュレートの状況により前後するが、22年6月8日か9日UTC(協定世界時)に起動すると予想されている。*日本はUTC+9時間
マージ(Merge)は「統合や合併」を意味するワード。The Mergeでは、ユーザーが現在利用している旧イーサリアム(メインネット)と「ビーコンチェーン」と呼ばれる新しいチェーンを「統合」することにより、PoSへのアップグレードが完了する。
イーサリアムの3つのテストネットの中で、Ropsten TestnetはRopsten Beacon Chainとの「統合」を最初に経験することになる。Ropstenの後、2つのテストネット(GoerliとSepolia)もMergeを実施し、最終的にメインネットでも実装される。
イーサリアム財団でプロトコルサポートを務めるTimbeiko氏は、6月8日に予想されるRopstenネットワーク上でのThe Mergeが「ノードオペレーターにとって最初のリハーサルになる」とコメントしていた。
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The Mergeのポイント
The Merge後は、二つのレイヤーが一つのイーサリアムを構成するような形になる。トランザクションやスマートコントラクトの実行機能はメインネット(エクセキューションレイヤー)がそのまま受け継ぎ、PoSによるコンセンサス形成はビーコンチェーン(コンセンサスレイヤー)で行われるようになる。
また、投資家はETHインフレ率の激減に着目。Merge後、ETHの1日あたりの生成数はPoW時の12,000 ETHから、1,280 ETHへと、インフレ率が約90%減少することになる。
RopstenでのThe Mergeの1つのポイントは、イーサリアムのコンセンサスレイヤーとエクスキューションレイヤーのノードが使用するクライアントソフトウェアが完全に同期するか否か。Ropstenマージ用にLighthouseやLodestarを含む8つのソフトウェアがあるが、ノードオペレーターとステーカーはそれぞれ最新のクライアントバージョンを実行する必要がある。
そして、2つ目のポイントはソフトウェアを更新しない不良ピア数を制御できるかどうか。市場では、The Mergeを支持しないマイナーが元のイーサリアム・PoWチェーンを採掘し続けることにより、チェーン分岐が起きることを懸念する声も多い。Timbeiko氏によると、The Mergeはそうした試みが無意味に終わるような施策が組み込まれている。
The Mergeではセキュリティを高めるため、あらかじめ定義されたTTD(Terminal Total Difficulty:期間中の合計難易度)に達した段階で完了する仕組みを採る。メインネットのTTDは、50兆もの高い閾値となっており、攻撃者がハッシュレートを獲得してThe Margeを妨害することを防ぐ。
Ropstenテストネットはハッシュレートが低いため、ノード・オペレータは「Ropsten Terminal Total Difficulty(TTD)」を事前に手動で設定するよう促されている。
Timbeiko氏は、RopstenでのThe Mergeの2つ目のポイントについて以下のように述べていた。
ノードがソフトウェアを更新するインセンティブがほとんどないRopstenでバッドピアの数を制御可能ならば、インフラプロバイダー、バリデーター、ユーザーがノードをアップグレードする強いインセンティブがあるメインネットでも制御できるはずだ。
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