またも仮想通貨業者の出金停止、債務問題収まらず
CoinFLEXの出金停止
暗号資産(仮想通貨)の先物取引所CoinFLEXは23日、「極端な市場状況」とカウンターパーティの不確実性を理由に出金サービスの停止措置を講じた。
CoinFLEXのMark Lamb最高経営責任者(CEO)はブログで、「確認のため、カウンターパーティーはThree Arrows Capitalやその他のレンディング企業ではない」と強調。その後の更新で出金再開の目途について6月30日とした。
香港に拠点を置き、セーシェル共和国で登記されているCoinFLEXは、ビットコインキャッシュの提唱者であるロジャー・バー氏やTrading Technologies、Dragonfly Capital Partnersなどの出資により2019年4月に設立。CoinMarketCapによると24時間取引量は2,700億円(21億ドル)で、市場17位のデリバティブマーケットとされる(執筆時点)。
CoinFLEXがエクスポージャーを否定したThree Arrows Capital(3AC)は、複数の仮想通貨融資企業からのマージンコール(追加証拠金の要求)に対応できなかったと伝えられている。
3ACは借りた資金でレバレッジをかけたリスキーな運用(Degen Trading)をしていたと見られており、同様の企業の債務問題が業界全体に波及している可能性がある。
ビットコイン(BTC)が2万ドルを取り戻し、仮想通貨市場のボラティリティが一旦縮小傾向にある中、業界大手の債務不履行がもたらした流動性危機について、市場の警戒感は依然として高いようだ。
仮想通貨取引所Hoo.comは19日、顧客資産の出金対応が24~72時間遅れることを報告。「最近の市場変動により業界の一部の大手機関が清算され、流動性が枯渇。これがユーザーのパニックを招き、大量の出金要請を誘発する別の問題が生じている」と述べた。AEXという別の取引所も16日、流動性圧力を理由にビットコイン(BTC)と主要なアルトコインの出金停止措置を取った。
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仮想通貨市場の債務問題
香港発の仮想通貨融資プラットフォームのBabel Financeは17日、一部の業界大手が相次いでデフォルト(債務不履行)状態に陥ったことを背景に「異常な流動性圧力に直面している」として、顧客資金の出金対応を停止。今もその状態は続いている。
機関投資家向けに無担保ローンを提供するDeFi(分散型金融)融資プラットフォームMaple Financeは21日、Babel Financeの出金停止により約13億円(1,000万ドル)の貸出資金が拘束されていることを公表した。
さらに、Three Arrows Capital(3AC)の直接の取引先の状況はより深刻だ。仮想通貨取引と有利子口座を提供するVoyager Digitalは22日、3ACに対して米ドル建てステーブルコイン(USDC)とビットコイン(BTC)で計890億円(6億6,100万ドル)のエクスポージャーがあると公表。期日までに返済するよう呼びかけた。これに関連してVoyagerの株価(TSE: VOYG)は60%下落。翌23日には、1日の引き出し限度額を25,000ドルから10,000ドルに引き下げている。
Voyager Digitalは17日、ヘッジファンド大手Alameda Researchから約260億円(2億ドル)相当のステーブルコイン(USDC)と、15,000 BTC(時価約400億円)の融資枠を確保したことを明かしたが、3ACへの債務がこれを上回ることから経営破綻の可能性も囁かれている。
仮想通貨の貯蓄口座を提供するFinbloxは17日、毎月約20万円(1,500ドル)の出金制限を設け、報酬分配を一時停止することを発表。同社は3ACの投資先であり、一部では借入先であったとも伝えられている。
リリースでFinbloxは「イールド生成とリスク分散のために3ACを含む8社と協業してきた」と述べている。3ACは相場の大幅急落で計520億円(4億ドル)もの証拠金が清算され、その後もBlockFiなど複数のレンディング・プロバイダーで債務不履行に陥っているとの疑惑が生じている。これを示唆してFinbloxは、「3ACによる同社の流動性への影響レベルを評価する」と説明していた。
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