イーサリアム、「Gray Glacier」アップグレードが迫る
Gray Glacierアップグレード
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のメインネットで、「グレイ・グレーシャー(Gray Glacier)」アップグレードの実施予定日が迫っている。
ブロックチェーンの蓄積数を表すブロック高で15,050,000番に起動するため、逆算すると6月29日(水)中の到達が予想される。
Gray Glacierアップグレードにより、難易度爆弾(ディフィカルティボム)の発動が100日相当(70万ブロック)順延となる。
難易度爆弾は、ETHのバリデータ(マイナー)をスムーズに新たなチェーンに移行させるための措置。ブロックの生成難易度を指数関数的に増加させ、バリデータが新しい取引をマイニングすることを不可能にし、イーサリアム上のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を強制的に終了させるねらい。
難易度爆弾はその性質上、「The Merge(ザ・マージ)」後に起動する必要がある。The Mergeでは、ユーザーが現在利用している旧イーサリアム(メインネット)と、「ビーコンチェーン」と呼ばれる新しいプルーフ・オブ・ステーク(PoS)チェーンを「統合」する。
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イーサリアムでは、1つ目のテストネット「Ropsten」上でThe Mergeを6月9日に実装したばかり。この際に明らかになったバグに対処するため、難易度爆弾の発動を2022年8月頃まで延期することを決めた。
まだ2つのテストネットが残されており、今後はGoerli(7月6日頃)とSepolia(未定)を経て、最終的にメインネットでThe Mergeが実施される予定である。
難易度爆弾は過去5回延期されてきたが、そのスパンは狭まっている。2020年1月の「ムーア・グレイシャー(Muir Glacier)では400万ブロック:約2年間先延ばしされた。21年7月の「アロー・グレイシア(Arrow Glacier)」では2022年6月まで延期された。
今回、イーサリアム財団でプロトコルサポートを務めるTimbeiko氏は、これが難易度爆弾の最後の延期になることへの期待を強調しており、The Mergeの数ヶ月以内の実現に意欲を示している。
イーサリアムのエコシステムでは、PoS移行において重要となるThe Mergeを早く完了したいとする気運が高まっている。難易度爆弾の発動を2022年8月頃まで延期するイーサリアム改善案(EIP)5133では、The Mergeの完了を早くて2022年8月中旬までに目標設定している。イーサリアムがPoSに移行した暁には、ブロック生成においてPoWと比較して99%のエネルギーが削減可能とされている。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは
「Proof of Stake(保有による証明)」の略。仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
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