難易度爆弾の発動を延期
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の開発チームは10日、「The Merge(ザ・マージ)」に関する難易度爆弾の発動を遅らせることを報告した。
マージ(Merge)は英語で「統合」を意味しており、The Mergeでは、ユーザーが現在利用している旧イーサリアム(メインネット)と「ビーコンチェーン」と呼ばれる新しいチェーンを「統合」することにより、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)へのアップグレードが完了する。
開発チームは、まずテストネット「Ropsten」において、The Mergeを実装したところだ。今後は、2つのテストネット(GoerliとSepolia)を経てから、最終的にメインネットでも実装される予定である。
今回、チームはRopstenでThe Mergeを行った際に明らかになったバグについて話し合い、難易度爆弾の発動を2022年8月頃まで延期するイーサリアム改善案(EIP)5133を採用した。なお、過去にも発動は5回延期されている。
難易度爆弾(ディフィカルティボム)は、バリデータ(マイナー)を、スムーズに新たなチェーンに移行させるために行われる措置である。
ブロック難易度(バリデータが取引を検証し、ブロックチェーンに追加するのにかかる時間)を次第に指数関数的に増加させ、最後にはバリデータが新しい取引をマイニングすることを不可能にして、イーサリアム上のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を強制的に終了させるものだ。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは
「Proof of Stake(保有による証明)」の略。仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
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開発をリードするTim Beiko氏は、「EIP5133は、難易度爆弾をさらに500,000ブロック遅らせ、2022年8月中旬にする」として、次のようにツイートしている。
In short, we agreed to the bomb delay. We were already over time, and want to be sure that we sanity check all the numbers before selecting an exact delay and deployment time, but we are aiming for a ~2 month delay, and for the upgrade to go live late June.
— Tim Beiko | timbeiko.eth 🐼 (@TimBeiko) June 10, 2022
手短に言うと、私達は難易度爆弾を遅延させることに同意した。正確な遅延や発動の日時を決める前に、すべての関連事項について確認を行うつもりだが、2か月程度の遅延と、6月下旬のアップグレード稼動を目標としている。
また、再来週頃には、このプロセスについて公式な報告を行いたいとも続けた。
電力消費量大幅削減へ
もう一人のコア開発者Ben Edgington氏も、難易度爆弾の遅延について報告し、次のように述べた。
難易度爆弾の発動を遅らせることになった。これによって、The Mergeの完了が遅れることはないと思う。遅れることがないように切に願う。
Edgington氏は、PoWのままであれば、二酸化炭素(CO2)を大量排出することにも言及し、イーサリアムのPoS移行において重要となるThe Mergeを早く完了したいという趣旨で発言した。
イーサリアムがPoSに移行した暁には、ブロック生成においてPoWと比較して99%のエネルギーが削減可能だとされている。EIP5133は、The Mergeの完了を早くて2022年8月中旬までに目標設定しているところだ。
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