シンガポールの仮想通貨融資企業Vauldが出金停止、モラトリアムを申請へ

Vauldの出金停止

暗号資産(仮想通貨)取引・融資プラットフォームVauldは4日、顧客資産の出金・取引および預金機能を停止した。法務・財務アドバイザーを雇用したとして、財務のリストラクチャリングも示唆した。

2018年に設立されたVauldは、シンガポールで設立されたグローバルな仮想通貨プラットフォーム。取引や貯蓄口座、仮想通貨担保融資など広範に手掛ける。22年6月時点に190カ国で15万人以上のユーザーを有し、1人当たりの平均預金額は約250万円(2万ドル)と報告していた。

VauldのDarshan Bathija最高経営責任者(CEO)はリリースで、市場環境や重要な取引先の経済的困難などの要因が重なり、財務的に苦境に立たされていると明かした。

TerraUSDステーブルコインの崩壊、Celsiusの出金停止決定、Three Arrows Capitalの債務不履行が引き金となり、仮想通貨市場の下落が引き起こされた6月12日以降、プラットフォーム上で1億9770万ドル(約260億円)を超える大規模な顧客出金が生じた。

Vauldは、財務アドバイザーとしてKroll Pte Limited、法務アドバイザーとしてCyril Amarchand MangaldasおよびRajah & Tann Singapore LLPをそれぞれインドとシンガポールで起用。「Vauldのステークホルダーの利益を最も保護できるよう、事業再編の可能性を含むあらゆる選択肢を検討し分析する」と述べている。

私たちは、シンガポールの裁判所にモラトリアム(関連企業からの訴訟の一時停止)を申請し、提案されている再建策を実行するための猶予を確保している。

Vauldは21年7月、PayPal創業者のPeter Thiel氏のファンドValar Venturesが主導するシリーズA資金調達ラウンドで30億円(2,500万ドル)を調達していた。

ピーク時の運用資産が2兆円以上(180億ドル)とされた仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows capital(3AC)は、22年6月27日に英領ヴァージン諸島裁判所で清算手続きを開始。1日には米国で破産申請を出した。

3ACは、5月に崩壊したテラ(LUNA)に出資し、ロックアップしていた約270億円(2億ドル)を損失。その後、高いレバレッジを掛けた「リベンジ・トレーディング」に取り組むようになったとされる。

その過程で、BlockFi、Genesis、Nexo、Celsiusといった業界最大手の融資会社から巨額資金を借り入れてきたと見られている。3ACにビットコイン(BTC)とステーブルコインで計900億円相当のエクスポージャーを取っていた仮想通貨取引プラットフォームVoyager Digitalは27日、3ACに対して債務不履行通知を発行するなど債務問題は業界全体へ飛び火している。

関連:仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows、米国で破産申請

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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