米SEC委員長、仮想通貨の情報開示や規制のあり方を語る
米SEC委員長、仮想通貨規制を語る
米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長は14日、暗号資産(仮想通貨)についてのインタビューに答え、情報開示や規制のあり方について見解を示した。Yahoo Financeが報道した。
現在、ステーブルコインUSTのディペッグや市場停滞の影響で、セルシウス、Voyager Digital、Three Arrows Capitalなど仮想通貨関連企業の破産が続き、ユーザー出金の停止も相次いでいる。
「ユーザー資産を保護するためには、従来型の証券会社に適用されるような規則を仮想通貨にも適用すべきか」という問いに対して、ゲンスラー委員長は「一言でいえば、イエス」だと回答した。
その際にまず、証券法における開示制度を仮想通貨に適用することが考えられるという。このことについてゲンスラー委員長は、仮想通貨にあてはめる際に開示方法を調整することもあり得るという姿勢を示している。
「株式の発行と仮想通貨トークンの発行が同じ形式とは限らないため、開示内容を調整することも可能だ」と発言した形だ。
開示は、投資家が充分なリスク情報を得て投資に関する意思決定を行う際に必要だという。
関連する動きとしてSECは4月、仮想通貨カストディ企業の会計処理に対する見解をまとめた職員向けの広報を発表。投資家への情報開示を強化すべきとしており、具体的には顧客から預かる仮想通貨を「負債」としてバランスシートに記載することなどを挙げた。
職員会計広報は、SECの正式な見解として承認されたものではないが、SEC職員が実務上使用するガイドラインとして参照されるものだ。
関連:米SEC、仮想通貨カストディ企業のリスク開示関連のガイドラインを発行
ステーブルコイン
ステーブルコインについて、ゲンスラー委員長は次のように話した。
ステーブルコインは、レンディングや取引のプラットフォーム内部で決済トークンとして使われている。プラットフォーム内部で使われるポーカーチップのようなものだ。99%以上は(仮想通貨エコシステムの)内部で使われている。
ステーブルコインは、投資家の保護、詐欺や不正行為からの保護が必要なシステム全体の一部である、と考えている。
仮想通貨エコシステム全体について投資家保護を行っていく中で、ステーブルコインについても取り組んでいく姿勢を示唆した格好だ。また、ステーブルコインについては議会が介入することが適切だと考えるとも述べた。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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CFTCなどとの共同作業
ゲンスラー委員長は、CFTC(米商品先物取引委員会)など他機関と共同作業を行っていくことについても言及した。
SECは、仮想通貨取引所、レンディング、ブローカー・ディーラーの3つの分野に取り組んでおり、こうした事業者と、どのように法的遵守すべきか、あるいは法的遵守基準を調整すべきかについて話し合っているという。事業者の他、銀行規制当局やCFTCとも議論していると続けた。
経緯としてゲンスラー委員長は4月、取引所が扱う仮想通貨には有価証券に該当するものと、コモディティ(商品)等に該当するものがあると説明。取引所の規制について、コモディティを担当するCFTCと協働するようにSECのメンバーに指示していた。
関連:米SECゲンスラー委員長「仮想通貨取引所の監督はCFTCらと分担すべき」=報道
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します