バイナンスVC部門「バイナンスラボ」に新責任者就任 Web3の推進加速へ
「ブロックチェーン業界の標準構築」目指す
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは3日、共同創業者の一人であるYi He氏をベンチャーキャピタル部門かつインキュベーターの「Binance Labs(バイナンスラボ)」の新たな責任者として任命したことを発表した。
バイナンスラボは、運用資産(AUM)で見ても業界最大手のベンチャーキャピタル(VC)。200以上の関連プロジェクトに投資しており、総資産は約1兆円(75億ドル)に及ぶほか、投資の収益性を測る指標である「投下資本倍率(MOIC)」21.0倍は、業界内でも群を抜いているとされる。
バイナンスのChangpeng Zhao(CZ)CEOは、次のようにコメントした。
Yi氏は創業チームの一員として、バイナンスラボに積極的に関わってきた。革新的なビジョンと意欲を持つ初期段階のプロジェクトや創業者を発見する上で、極めて重要な役割を担ってきた。
厳しい市場環境にある中で、成功を収める粘り強さを持つプロジェクトを特定するには良い機会でもあるとして、Yi氏が大きな役割を果たすことに期待感を示した。
Yi氏は「ブロックチェーン業界の標準を構築して、Web3とブロックチェーン技術の将来の普及を推進すること」を目指しており、バイナンスラボのグローバル戦略と日常業務を率いていく。
Yi氏は、厳しい市場環境の中で「リソースがより制限された環境で成功するために必要なスキルや価値を保有しているプロジェクト」を探す能力が必要とされていると話した。
また、持続可能なプロジェクトを特定・支援し、業界全体に力を与える質の高いブロックチェーンソリューションのエコシステムを構築したいと述べている。Yi氏は、Web3についても、次のように方針を示した。
Web3が今後5年間で10億人の新規ユーザーを獲得することは必然だろう。しかし、Web3が本当に主流になるのは、それがユーザーの生活に円滑に入り込む時だけである。
Web3の普及を促進するためには、その技術の可能性を拡大し現実世界の問題にソリューションを提供するプロジェクトを支援することに、リソースを集中する必要がある。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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バイナンスラボの活動
バイナンスラボは、さまざまなスタートアップ企業のインキュベーションにも携わってきた。
これまでの例としては、イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを提供するポリゴン(MATIC)や仮想通貨取引所FTXをはじめ、仮想通貨セキュリティ企業Certik、Web3における分散型プライバシーサービス提供を目指すNym、仮想通貨データサイトDune Analyticsなど、様々なプロジェクトの育成を行っている。
5月にも14のスタートアップ企業を対象としたインキュベーションプログラムを開始したところだ。
バイナンスラボは6月、新たなファンドで650億円を調達した。CZ氏は新ファンドの目的について「DeFi、NFT、ゲーム、メタバース、ソーシャルなどにまたがるWeb3を構築し、リードする可能性を持つプロジェクトや起業家を発掘し、支援することだ」としている。
ファンドの支援者には、DST Global Partners、Breyer Capital、そして無名のプライベートエクイティファンドやファミリーオフィスなども含まれている。バイナンスの広報担当者によると、同社にとって外部資本を使った最初のファンドだという。
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