テザー社、USDT準備金のコマーシャルペーパー保有額を6割削減
コマーシャルペーパー保有額を約6割削減
ステーブルコイン「USDT」などを発行するテザー社は19日、大手会計事務所BDOのイタリア支部「BDO Italia」による、第2四半期(4-6月)の財務証明書を公開した。裏付け資産としてのコマーシャルペーパー保有額を前四半期から58%以上削減したと報告している。
テザー社はこれまで、ケイマン諸島の会計事務所Moore CaymanとMHA Caymanが担当していたが、今週18日に世界第5位の会計事務所であるBDOインターナショナルに監査の委託先を変更すると発表したばかりだった。
ステーブルコインUSDTの準備資産については、コマーシャルペーパーが多くの割合を占めており、契約先企業などの詳細が不明であることについて懸念が上がっていたが、テザー社はこれを受けて、コマーシャルペーパー保有の割合を削減していく方針を進めている。
コマーシャルペーパーとは
企業が短期で資金調達する際に発行される無担保の約束手形。
社債に似ている反面、従来では社債の償還期間は1年以上なのに対し、コマーシャルペーパーは1年未満。金利は発行する企業の信用力で決まる場合が多い。
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新たに監査を担当することになったBDOは、6月末時点で、テザー社のコマーシャル・ペーパー保有額が前四半期の約2.7兆円(200億ドル)から約1兆円(85億ドル)へと58%以上減少したと報告。。
テザー社は、コマーシャル・ペーパーへのエクスポージャーを、2022年8月末までに270億円(2億ドル)まで減少させ、年内にはゼロにする見込み。第2四半期中に、テザー社は現金および銀行預金の保有量を32%増加させた。
CTOコメント
テザー社のパオロ・アルドイノCTO(最高技術責任者)は、次のようにコメントしている。
ステーブルコインUSDTの有用性は、その準備金の透明性に支えられており、当社がグローバル経済のためのツールを構築する上で安定した基盤になっている。
透明性とコミュニティに取り組んでいくことは、当社の精神における柱であり、マーケットリーダーとしての当社の責任にも沿うものだ。今回、世界トップクラスの会計事務所であるBDOと提携したことも、そうした取り組みの一環である。
また、「競合他社や将来構築されるステーブルコインが参考にできるような市場標準を設定していきたい」との姿勢を示した。
コマーシャルペーパー削減の他にも、テザー社の報告には以下のような内容が含まれている。
- グループの連結総資産は、9兆円(664億ドル)以上に達しており、連結負債総額(662億ドル)を上回っている。
- コマーシャルペーパーおよび譲渡性預金の平均格付けが改善され、A-1からA-2の範囲で推移している
また、第2四半期の事業は堅実で、仮想通貨市場が低迷していた状況下においても、発行済みトークンを完全に補填できる準備金を維持していたと説明した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します