リップル社CEO、SECと裁判の見通しについて語る
事実と法律は明確
米リップル社のブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者は、23日に公開された米CNBCのインタビューで、2年近く続く米証券取引委員会(SEC)との法廷闘争と今後の見通しについて、自身の考えを述べた。
ガーリングハウス氏は、XRPの有価証券問題で略式判決の申し立てを行った事について、「事実と法律が明確である」ことをあらためて強調。リップル社の主張に自信を持っており、SECが法律で定められた権限を越えようとしているのがこの裁判だと述べた。
SECは闇雲に権力を握ることはできない。
SECに法執行の権限を与えているのは議会であり、その権限の根拠となる1933年証券法は、投資契約があることが第一前提であると同氏は指摘。リップル社の場合、「当事者同士の合意」である投資契約が存在しないことは「非常に明確である」と主張した。
また、投資契約の定義を満たすか否かの判断基準となるハウィーテストについて、XRPは同テストの三つの要素全てを満たさないと述べた。
ハウィーテストとは
ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来する。テスト自体には法的拘束力はないが、SECはこのテストをもとに複数のICO(トークン販売)に対して訴訟を起こした経緯がある。
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「SECは偽善的」
SECに対する意見を求められると、ガーリングハウス氏は「SECはいじめっ子であるという評判を築いたことが特徴だ」と痛烈に批判した。
リップル社はこの訴訟で145億円(1億ドル)以上を費やす事になるが、迅速に裁判を進めようとする同社に対し、SECはできるだけ引き伸ばそうとしたと述べた。また、SECの標的となった場合、事業撤退を余儀なくされた業界の企業も多いと語った。
また、裁判所は5回に渡り、前企業財務部門部長であるウィリアム・ヒンマン氏のスピーチに関するメモの提出をSECに命じたが、いまだに提出されていない件に言及。裁判官が「法律に忠実に従っていない」SECは偽善的であると非難したことを明らかにした。 (ヒンマン氏は2018年、イーサリアムは証券ではないと言及した経緯がある。)
規制の明確化
ガーリングハウス氏は、SEC並びに米国政府が、明確な規制の枠組みを定めていないことを残念に思うと語った。
米国政府は1990年代後半、インターネットに関するルールを明確化したことで「地政学的に大きな恩恵を受けた」が、仮想通貨の規制は遅れをとっていると指摘。特にSECが「強制執行によって規制を行おうとしている」行為は、非常に非効率的なやり方だと非難した。
仮想通貨に関する大統領令の発令や上下院で審議中の仮想通貨規制法案は、前向きな方向への一歩だとしながらも、スイスやシンガポールのような「明確な運転ルール」は存在しないため、リップル社の成長を支える顧客の95%は米国外にあると述べた。
また、SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は「ルールは明確にしている」と主張する一方で、イーサリアムは証券なのかどうかについては、はっきり返答しないと指摘。業界が求めている規制の明確さが提供されていないことこそ、不誠実であり、もどかしい思いだと語った。
敗訴した場合
今回の訴訟でSECが敗訴となった場合について尋ねられると、ガーリングハウス氏はリップル社の事業基盤の大半が国外であることから、同社は事業拡大できると考えるが、米国にとっては残念な事になると述べた。また、SECが「より積極的に行動する」事につながるだろうと付け加えた。
ゲンスラーSEC委員長が、大半の仮想通貨が有価証券である可能性を主張していることから、リップル社裁判の結果は、「世界最大の経済大国である米国」の仮想通貨業界に大きな影響を与えることになると指摘。しかし、SECの行き過ぎた行動は、米国議員の注意を引く事に繋がり、SECに説明を求める書簡を送っている議員もいたと述べた。
ガーリングハウス氏は、議会がSECに権限を与えた法律とは何かについて、今一度、核心部分に立ち戻る必要があると強調した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します