MakerDAO、2,300億円をコインベースカストディで運用へ
Makerの資産運用
DeFi(分散型金融)大手Makerプロトコルを管理する「MakerDAO」が約2,360億円(16億ドル)相当の保有資産を、Coinbase Custodyで運用するプランがガバナンス投票で可決しそうだ。
機関投資家向けに暗号資産(仮想通貨)のカストディサービスを提供するCoinbase Custodyは、9月28日にMakerDAOに提案書「MIP81:USDCリワードプログラム」を提出していた。
ガバナンス投票の期日は10月24日。執筆時点にメイカー(MKR)保有者の88.19%が賛成している。
MIP81が可決すると、Makerプロトコルが保有するステーブルコイン「USDコイン(USDC)」の33%をCoinbase口座に移し、MakerDAOは手数料ゼロで最大1.5%の年間利回り(22億円)を享受する。
Makerプロトコルは、ステーブルコイン「DAI(ダイ)」の発行・管理、レンディングプラットフォーム。MakerDAOはプロトコルの運用方針について、ガバナンストークン(MKR)の投票を通して管理するDAO(分散型自律組織)だ。
DAIは仮想通貨担保型のアルゴリズムステーブルコインで、米ドルの価値と連動しており、1DAI≒1ドルを維持するよう設計される。執筆時点でDAIの時価総額は67億ドル(約9,700億円)で、これはステーブルコインとして4位の規模だ。
MIP81の採用は、DAI準備金の約6割(6,200億円)を占めるステーブルコインUSDCの運用から低リスクの利回りを得る狙いの一環。MakerDAOはバランスシートの多様化戦略を進めており、10月初旬には合計725億円(5億DAI)を米国債などに投資する計画が始動していた。
a16zがサポート
米著名VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)はMIP81へのサポートを公表。同社は投資家として大量のMKRトークンを所有しており、コミュニティ投票に相応の影響力を有している。
a16zのPorter Smithパートナーは、Coinbase Custodyとの取り組みが、DAIの長期的な分散化と適応力の強化につながると表明した。
a16zはまた、別のMakerDAOのガバナンス投票でもプレゼンスを高めている。19日には、MakerDAOを複数のサブDAOに分割するという、Maker創業者のRune Christensen氏の提案「Endgame Plan」に反対する姿勢を示していた。
Endgame Planでは、RWA(現実世界資産)の統合や、合成ETH運用など、個別プロジェクトを管理するDAOが独自トークンを発行する提案。政府からの検閲耐性と個別プロジェクトの推進力を強化するねらいがある。
戦略には、USDCのような政府による差し押さえの可能性がある中央集権的な資産を、DAI準備金から取り除く内容も含まれた。
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