Makerが国債投資
DeFi(分散型金融)大手Makerプロトコルを管理する「MakerDAO」が、合計725億円(5億DAI)を米国債などに投資する計画が始動した。
Maker Governance executed the first DAO balance sheet investment in high-quality bonds.
— Maker (@MakerDAO) October 6, 2022
MIP65: Monetalis Clydesdale will activate a Maker Vault for the purpose of investing PSM’s USDC in liquid bond strategies with a debt ceiling of 500 million DAI. pic.twitter.com/LlpBUkYXxE
DAI準備金の約5割(5,800億円)を占めるステーブルコイン「USCCoin(USDC)」の一部をDAIに替え、DAIの運用から低リスクの利回りを得る狙い。1.45億円(100万ドル)の試験取引はすでに完了しており、今後も段階的に進行していく。
MakerDAOは声明で、「準備金からの利回り獲得は、プロトコルの機能強化と資本投資の安定化につながる」と述べ、「伝統的な金融スペースで、DAIの影響力を示したい」と加えた。
Makerプロトコルは、ステーブルコイン「DAI(ダイ)」の発行・管理、レンディングプラットフォーム。MakerDAOはプロトコルの運用方針について、ガバナンストークン(MKR)の投票を通して管理するDAO(分散型自律組織)だ。
DAIは仮想通貨担保型のステーブルコインで、米ドルの価値と連動しており、1DAI≒1ドルを維持するよう設計される。執筆時点でDAIの時価総額は67億ドル(約9,700億円)で、これはステーブルコインとして4位の規模だ。
国債を取り入れる計画は22年6月に暗号資産(仮想通貨)メイカー(MKR)保有者によってコミュニティ投票が開始された経緯がある。その後、5億DAIを①米国短国債(80%)+社債(20%)で運用するプランが、7月上旬に可決していた。
ステーブルコインDAIを現金に換金するプロセスは、デジタル資産銀行Sygnumと投資管理会社Baillie Giffordが協力する。その後、キャッシュは米国債や社債の購入に充てられる。
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ステーブルコイン準備金の運用
ステーブルコインの発行体が準備金を使った国債運用に乗り出す事例は、Makerが初めてではない。22年10月の報告によると、流通量で最大(約10兆円)のステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行するTether社(香港)の準備金のうち米短期国債が占める割合は58%超だ。
流通額6.7兆円のステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル社(Circle)も7月、準備資産の76%を米国国債で運用していると明かした。
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元本が保証された無リスク資産とされる国債利回りは、2022年の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策の影響で上昇傾向にある。
9月28日には、代表的な長期金利(米国10年国債)の利回りは2010年以来の高水準(4.00%台)に上昇。不動産投資信託(REIT)や株式インデックスなど、リスクのある資産よりも魅力的な場面では一般的に資金が国債に移る傾向がある。
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