ステーブルコインの準備資産
暗号資産(仮想通貨)の米ドルステーブルコイン「USDT」などを発行する米テザー社のパオロ・アルドイノ最高技術責任者(CTO)は3日、9月末時点の準備資産をツイッターで公表した。
ステーブルコインの裏付けとなる準備資産において、米短期国債が占める割合は58%超となり、6月末時点の43.5%から増加したと説明。また、コマーシャルペーパーの保有額は9月末時点で約72億円(5,000万ドル)以下であるとした。テザー社は2022年末にはコマーシャルペーパーの割合をゼロにすることを目指している。
#tether portfolio update. Tether as of 30 September 2022 holds ~58.1% of its assets in US t-bills. Up from 43.5% on June 30 2022.
— Paolo Ardoino 🕳🥊 (@paoloardoino) October 3, 2022
CP exposure is < 50M now.@Tether_to
同社は現在、四半期ごとに裏付け資産に関する情報を公開。前回は6月末時点の資産の発表を8月に行っていたため、これから9月末時点の情報も正式発表するとみられる。
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テザー社を巡っては、USDTの裏付け資産に対する懸念が長期に渡って継続。コマーシャルペーパーについては、契約先企業などの詳細が不明であることについて懸念が上がっていた。
8月の発表で同社は、コマーシャルペーパー保有額を前四半期の約2.8兆円(200億ドル)から約1兆円(85億ドル)へ58%以上削減したと報告。アルドイノ氏はその際、以下のようにコメントした。
USDTの有用性は、準備金の透明性に支えられており、当社がグローバル経済のためのツールを構築する上で安定した基盤になっている。
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透明性向上への取り組み
テザー社の裏付け資産の監査は8月発表分から、世界第5位にランク付けされている大手会計事務所「BDO Italia」が担当。それまでは、ケイマン諸島の会計事務所「Moore Cayman」と「MHA Cayman」が担当していた。
アルドイノ氏は8月、この点について以下のように説明している。
透明性を向上させたり、コミュニティと向き合ったりすることは、当社の精神における柱であり、マーケットリーダーとしての当社の責任にも沿うものだ。
今回、世界トップクラスの会計事務所であるBDOと提携したことも、そうした取り組みの一環である。
テザー社は今後、四半期ごとではなく、月次報告書に切り替えて準備資産の透明性を向上させることも計画しているという。