USDC準備資産の内訳
米サークル社(Circle)は14日、同社が発行するステーブルコイン「USDC」の準備資産の内訳及び全カストディアンのリストを公開した。ステーブルコインの安全性に関する懸念が高まる中、同社は5月からUSDCの仕組みや流動性、リスク管理等に関する一連のブログ記事を発表しており、今回はその第9弾となる。
Circle continues enhancing our transparency and today we shared a detailed look at the assets backing the USDC reserve. https://t.co/1tuaFWZhIO
— Circle (@circlepay) July 14, 2022
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公開された2022年6月30日時点の準備資産状況は以下の通り:
- 流通しているUSDC合計:$55,569,519,982
- USDC準備資金合計:$55,703,500,691
- 償還期間平均(現金預金と短期国債の平均):43.9日
準備資産内訳
- 保有する米国国債合計:$42,122,235,732
- 規制された米国金融機関で保有する現金総額:$13,581,264,959
- USDC準備資金合計:$55,703,500,691
なお、米国国債は3ヶ月の短期国債のみで、それぞれ債券の識別番号、満期日及び市場価格の詳細が公開されている。
準備資金のうち現金を管理している金融機関は次の通り(全て規制に準拠):
- New York Mellon銀行
- Citizens Trust銀行
- Cuscomers銀行
- New York Community銀行
- Signature銀行
- Sillicon Valley銀行
- Silvergate銀行
- US Bancorp
サークル社は上記のような準備資産の詳細な内訳を、毎月公開するという。また、同社のホームページには準備資産の週ごとの内訳、及び発行と償還の状況が公開されている。
USDCとは
米ドルと1:1の割合で価値が連動されるように運用されているステーブルコイン銘柄。サークル社とコインベースの共同事業体「Centre」が発行しており、取引の基軸通貨として利用されるほか、DeFiの貸付などでも広く活用されている
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ステーブルコインのリスクと規制
5月初旬、アルゴリズム型ステーブルコインであるテラUSD(UST)にディペッグが発生し、テラブロックチェーンのネイティブトークンLUNAが99.99%暴落。暗号資産(仮想通貨)市場に大打撃を与えた。最終的にスリーアローズ・キャピタルやセルシウスといった大手企業が、連鎖的に破綻する事態に発展した。
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テラ騒動は、ステーブルコインの安全性に対する懸念を掻き立てることとなり、以前にも増して、各国政府や規制当局による、規制の必要性に対する議論が活発になった。
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5月に開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議でも、ステーブルコインに関する議論が行われたと報じられた。英国財務省はステーブルコインをはじめとするデジタル通貨が機能不全になった場合の対応を協議。中央銀行であるイングランド銀行に、指示権限を持たせることを提言した。
関連:英財務省、ステーブルコインが機能不全になった場合の対応を協議
日本では6月3日に成立した改正資金決済法で、仮想通貨とステーブルコインの規制の実施が明記された。同月17日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融政策報告書の中で、ステーブルコインが金融システムに与えるリスクについて言及。米ニューヨーク州は、ステーブルコインに関する準備金や償還、監査などのガイドラインを発表した。
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さらに今月に入ると、金融安定理事会(FSB)、欧州中央銀行(ECB)、国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会(CPMI)と証券監督者国際機構(IOSCO)などが相次いで、ステーブルコインに関する公式声明や報告書、ガイドラインなどを発表。
ここにきて、ステーブルコインに対する規制の機運が一気に高まってきたようだ。
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