バイナンス、FTX買収を検討へ 流動性危機を支援

FTX買収に向けた調査開始

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは、同業大手のFTXを買収に向けた調査を開始することで合意した。両社の最高経営責任者(CEO)が9日に発表した。

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買収の対象になるのはグローバル事業を展開する「FTX.com」で、米国の「FTX US」や日本の「FTX Japan」は含まれない。現時点で買収に拘束力はなく、まずはこれから数日間でバイナンスがFTXの状況を調査する。FTXが流動性危機に陥って支援を要請をしており、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは、ユーザーを保護するために買収の基本合意書に署名したと述べた。

流動性危機とは

引き出し可能な資産または換金しやすい資産が枯渇している状態。

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CZ氏は、今回の契約が正式に成立するには一定の時間がかかるだろうとも説明。リアルタイムで状況を調査していくとしており、バイナンスはいつでも今回の契約を撤回することができるとも述べている。状況次第で、FTXのトークンであるFTTの価格変動が大きくなる可能性もあるとした。

また、買収発表後には、全ての仮想通貨取引所は準備金の証明をすべきだと主張。銀行は預金を一部を残して投融資に回しているが、仮想通貨取引所はそれをすべきではないと述べた。バイナンスは透明性のために、近く準備金の証明に取り掛かると説明している。

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さらに、CZ氏はFTXの問題を受け、2つの教訓について見解を述べ、「バイナンスはBNBを担保にしたことは一度もなく、借金もしていない」と明言した。

  • 自分が作ったトークンを担保にしないこと
  • クリプトビジネスをやるなら借金しないこと。資本を「効率よく」使ってはいけないこと。大きな準備金を持つこと。

FTX側の説明

今回の買収劇の発端は、FTXの姉妹企業であるアラメダリサーチのバランスシートの漏洩。この非公開の財務状況が報じられた後、バイナンス側は「純粋な投資上の決定」としているが、CZ氏が7日にFTTを全て売却すると説明した。

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FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは今回、バイナンスとの契約について、ユーザーを保護することが目的だと述べている。CZ氏やバイナンス、全ての支援者に感謝しているとし、今回の契約は業界全体に利する発展であると主張した。

そして、バイナンスは規制当局との関係改善に取り組みながら、分散型の経済圏構築を継続していると説明。FTXとバイナンスは敵対しているとの報道もあるが、関係は良好だとした。

また、FTXは出金の処理に取り組んでおり、流動性危機を乗り越えようと注力しているとも説明。全ての資産が1:1でまかなわれると述べている。

*追記)アラメダに関しは、FTXが今年の第2四半期ごろに、3ACなどの破綻から影響を受けたアラメダを救済するために、41.9億ドルに相当するFTTを送った可能性が浮上。CoinMetricsの研究開発責任者@LucasNuzziがデータを示した。

*追記)なお、ブルームバーグの億万長者指数によると、サムの純資産はFTXの破綻危機やFTTトークンの暴落の影響で、昨日の160億ドルから9億9100万ドルに減少したという。

*追記)国内取引所FTX Japanは9日、親会社FTXの動向を受け、「当社のプラットフォームである「FTX Japan」では売買等のお取引が可能ですが、本社の対応方針に沿って、現在のところ暗号資産の出庫及び法定通貨の出金サービスを一時的に停止しております。」との声明を発表した。

出典:FTX Japan

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規制当局が注視

今回の買収が成立すれば、仮想通貨取引所として業界最大のM&A(合併・買収)となる。大手取引所の流動性危機は、投資家保護の観点からも重要な事案だ。

CoinPostの提携メディア「The Block」によれば、米商品先物取引委員会(CFTC)が今回の買収を注視しているという。一方で、CFTCの担当者は「現時点では、規制上の問題があるかは明確にはなっていない」と説明した。

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