イーサリアムL2「zkSync v2」 、約280億円を調達
Matter Labsの資金調達
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のレイヤー2ソリューションである「zkSync」を開発するMatter Labsは16日、シリーズCラウンドで約280億円(2億ドル)を調達したことを発表した。
新たに調達した資金は、Matter Labsが構築したプロジェクトの運用、及びエコシステム上でローンチするサードパーティプロジェクトへの資金提供などに充てられる。
シリーズCのリードインベスターを務めたのはBlockchain CapitalとDragonfly。Variant、LightSpeed Venture Partnersらが参加した。昨年11月に5,000万ドル(約56億円)を調達したMatter LabsのシリーズBをリードした米VC大手a16zは、今回も参加した。同社の合計調達額は約640億円(4億5,800万ドル)となっている。
zkSync 2.0は、「ZKロールアップ」型のレイヤー2スケーリングソリューション。ZKロールアップはトランザクションを集約してオフチェーンで処理し、生成した暗号証明のみをイーサリアム・ブロックチェーンに保存する。
数あるZKロールアップの中でもzkSyncの特徴は、EVM(イーサリアム仮想マシン)互換を備えること。イーサメインネット上のUniswapなど既存のdApps(分散型アプリ)をスムーズに移植できる利点がある。
投資家の関心度の高い独自トークンの発行計画については、2023年以降になりそうだ。後述するロードマップ上でも、通常はトークン発行を手段として実現を図る「分散化」は最終地点にある。
Matter LabsのSteve Newcomb最高製品責任者は、トークン発行を計画しているが、適切なタイミングで実行する意向を示している。同氏は海外仮想通貨メディアDecryptに以下のように述べている。
トークンを急ぐつもりはない。分散化には、組織、技術、経済の分散化というトリレンマ(両立が困難なこと)が存在する。トークンはその1つに過ぎない。我々はこのトリレンマを上手く処理したい。
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zkSyncの分散化計画
10月29日にzkSyncのv2版がメインネットローンチを迎えたが、ストレステストやバグバウンティプログラムを行う「Baby Alpha」段階とされ、外部プロジェクトとユーザーはまだ利用不可能な状態だ。
Baby Alphaが終われば10月〜12月の間には次の段階となる「Fair Onboarding Alpha」を予定。zkSyncブロックチェーンに参加予定のプロジェクト(エコシステム/経済圏)がプロダクトをデプロイできるようになる。
16日のリリースによると、「Fair Onboarding Alpha」でzkSync(v2版)のコードがオープンソース化される。これにより、すでにイーサリアムやEVM互換チェーンで稼働しているプロダクトのzkSyncへの移行を促す狙い。
zkSyncのエコシステムには、分散型金融のトッププロジェクト(Argent:ウォレット、UniswapやCurve:DEX、Yearn:金利アグリゲーター、Maker:ステーブルコイン、Aave:レンディング)、インフラプロダクト(Chainlink:オラクル、The Graph:データインデックス、Gnosis:金庫)、現金ゲートウェイなど150のプロジェクトが待機中だ。
すべてのユーザーが利用できるようになるのは、22年末/23年始に実施予定の「Full Launch Alpha」以降となる。
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