複数当局、バイナンスにFTX破綻との関係性を問い合わせ バイナンスは関係性を否定
規制当局の調査事項の1つに
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは、FTX破綻を受けて、複数の国や地域の規制当局からの問い合わせに対応している。バイナンスの広報担当者が、コインポストの提携メディアThe Blockに述べた。
バイナンスの動きとFTX破綻の関連性について、複数の当局がバイナンスに問い合わせていることを認めた形だ。その上で、広報担当者は次のように、詳細は提供できないと説明した。
この問題は多くの法域で、規制当局による継続的な調査の対象となっており、私たちは厳密な機密保持に基づいて協力し情報を提供している。
そのため、当社はすでに示した事実関係以上には、FTXに関連する文書を提供することはできない。
英国議会も継続して照会か
バイナンスにFTX破綻との関係性を問い合わせた機関の1つには、英国下院の財務委員会がある。
英国では、議会の財務委員会が14日、FTX破綻を受けて公聴会を開催。その際に、ハリエット・ボールドウィン議員が、バイナンスとFTX破綻の関係性を、バイナンスの欧州政府関係責任者ダニエル・ティンダー氏に尋ねていた。
バイナンスは16日、この質問に書面で回答。「FTXの破綻原因は、11月2日にCoinDeskの記事で最初に報告された、財務上の不正と詐欺の可能性であることが明らかだ」と述べていた。
しかし、こうした回答に満足はしていない議員もいる。財務委員会に所属するアリソン・シューリス議員は、ブルームバーグのインタビューで次のように話した。
バイナンスの回答は、今回の出来事の背景について、本当の意味での詳細は提供していない。財務委員会は、起こったことについてさらに詳細を把握するために、今後も追加で質問をすることになるだろう。
米国でも公聴会開催へ
米国でもFTX破綻に関する公聴会を開き、バイナンスからも聴取を行う動きがある。
米下院金融委員会は12月に、FTX破綻と仮想通貨システムへの影響について超党派で公聴会を開催する予定だ。FTXのサム・バンクマンフリード元CEO、FTX、アラメダリサーチ、バイナンスの関係者などから聞き取りを行いたいとしている。
公聴会開催を発表した議員の一人であるパトリック・マクヘンリー下院議員(共和党)は、「責任ある企業がブロックチェーンや仮想通貨の技術を活用できるよう、悪質業者の責任を追及することが重要」とコメント。
さらに、公聴会の焦点の1つとして、バイナンスのCZ CEOの言動とFTX破綻の関係性についても議論される見込みだと話している。
FTXは12日、米国でチャプター11により破産申請を行っている。時系列としてはまず2日に、海外仮想通貨メディアCoinDeskがFTXの姉妹企業であるアラメダリサーチの財政状況の苦境をリークする記事を報じた。
記事では、流動性の低いFTTなどのトークンを多く保有していたことや、トークンを担保に多額の借入を行なってきたことが指摘され、市場でFTTのリスクが認識され始めた。この報道の後、バイナンスのCZ氏が7日、同取引所保有のFTTを売却すると明かしたことで、さらにFTT価格が下落しているとの指摘があった。
CZ氏は8日、FTT売却を明かしたのは「透明性確保のため」だと説明した。大量のFTTがバイナンスに送金されていることについて質問を受けたため「ポジションを閉じようとしていることを明確にしただけだ」と述べている。
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米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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