ポリゴン、L2「Polygon zkEVM」の最終テストネットをローンチ
最終テストネットのローンチ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを提供する「ポリゴン(MATIC)」は21日、「Polygon zkEVM」の最終テストネットをローンチしたことを発表した。
Polygon zkEVM(旧Polygon Hermez)は、ZK(ゼロ知識証明)ロールアップベースのレイヤー2スケーリングソリューション。ZKロールアップはトランザクションを集約してオフチェーンで処理し、生成した暗号証明のみをイーサリアム・ブロックチェーンに保存する。高速ファイナリティを備え、大量のトランザクション処理を低コストで実現する。
ZKロールアップの中でも、Polygon zkEVMはイーサリアムのスマートコントラクトをそのまま展開できるよう、EVMをエミュレート(模倣)するように設計されている。
EVM(イーサリアム仮想マシン)とは
イーサリアムのハードウェアとノードネットワークレイヤー上に維持されているエンティティ。状態変化を計算するルールを定義する。ブロック毎に、スマートコントラクトに使用されるコードの実行やコンパイルなどを実行し、イーサリアムネットワークの状態を計算する。
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メインネットローンチ予定日は明かされていないが、Polygon zkEVMの最終テストネットのポイントは、新たに「再帰性(Recursion)」機能が導入され、ほとんど最終モデルとなったこと。ポリゴンは、再帰性の導入により1つの証明データに他のZK証明の集約を可能にし、検証作業の「指数関数的なスケーリング」を実現すると述べている。
これにより、証明の生成はより高速になり、ユーザーにとってのコストは低下した(すでに1トランザクションあたり4セント以下)。しかし、今後数カ月間、さらなるリサーチとアップグレードを施し、手数料をさらに引き下げるために取り組む。
テストネットユーザーの移行
Polygon zkEVMが22年10月にローンチした最初のパブリックテストネットは、23年1月5日に廃止される。DeFi(分散型金融)プロジェクトのAaveやUniswap、ソーシャルプラットフォームのLens、ゲームスタジオ「Midnight Society」らがテストネットに参加することが決まっていた。
ポリゴンによると、通算で2264本のコントラクトが配備され、1万アドレスが最初のテストネットに参加したという。
最終テストネットに移行したいユーザーは、使用しているウォレットのカスタムページから、ChainID番号を変更する必要がある。詳細は公式ページで確認できる。
ゼロ知識証明とイーサリアム
ZKロールアップやzkEVMなど「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof)」関連の技術は、イーサリアム(ETH)ブロックチェーンのロードマップにおいて重要な役割を担う。最新版ではロールアップやZK-EVMsを軸に10万TPS以上の実現を目指す形に変化した(現在は約15 TPS)。
この領域にはポリゴン以外にも多くの有力事業者が参入している。ZKロールアップの主要な開発企業としてはイスラエルのStarkWare社が有名だ。6月にはイーサリアムの関連ソフトウェア開発企業ConsenSysが、StarkWareとの提携を発表した。同社が開発するl2技術の実験環境「StarkNet snap」を、限定的に仮想通貨ウォレット「メタマスク」とRPCノード「Infura」に導入した。
ConsenSysもまた、12月13日に「zkEVM」のプライベートベータ版のテストネットのローンチ計画を発表した。別の開発企業Matter Labsもまた、独自の「zkEVM」についてテストネットを3月にローンチしていた。
zkEVMはイーサリアム仮想マシンと互換性があるため、zkEVM上にイーサリアムのアプリを展開しやすい利点がある。開発者はウォレットのメタマスクなど、イーサリアムで馴染みのあるツールを使ってアプリを展開することが可能だ。
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