ゴールドマン・サックス、3200人の人員削減へ リーマンショック以来最大
ゴールドマン・サックスが人員削減
金融大手ゴールドマン・サックスについて、1月11日以降に3,200人の人員削減を実施する計画が明らかになった。
この人数は、22年10月時点の同社の総従業員数49,100人の約6.5%に相当し、2008年の金融危機以来最大規模とされる。
22年末にゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)が社内向けに提示していた「最大で4000人規模の削減」計画には満たないが、第1四半期の収益予想を下方修正することになれば、さらなる人員削減も起こりえるとの見方も出ている。
2020年以降、新型コロナウィルスの感染拡大後の大規模金融緩和局面における市場活況を受けて、ゴールドマン・サックスは人員拡大を敢行。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げに転じた2022年には金融市場は大きく冷え込んだ。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻のほか、エネルギーコスト高騰を含む高インフレなど不安定な世界金融市場の環境下で、買収案件や新株及び債券発行を含む企業の取引活動が大幅に鈍化。
人員削減の対象は全体に渡るが、特に投資銀行部門やトレーディング部門といった中核事業が中心になると見られている。ゴールドマン・サックスの2022年第3四半期の収益は前年比12%減に留まったが、投資銀行部門は前年比57%減少していた。
景気後退に備える動きか
5日には、eコマース最大手アマゾンが18,000人以上の人員削減を計画していることが明らかになったばかり。米メタ(旧フェイスブック)社もまた22年末に全従業員の13%に当たる1万1,000人の削減を発表していた。
大企業による人員削減は、今後迎える景気後退(リセッション)期に向けた準備の一環として進められることが多い。リーマン・ショックにより金融危機が広がり、世界経済が景気後退に陥った2008年〜2009年に見られた光景だ。
FRBはインフレ退治を目的に過去1年間に政策金利を引き上げてきた。しかし、緊縮的な金融政策が行き過ぎるとリセッションリスクが懸念される。そうなると、FRBが景気を上向かせるための金融緩和政策にシフトするタイミングに市場の関心が高まる。
FRBは22年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の利上げ幅は4会合続いた0.75%から0.50%に縮小させた。1月12日に発表予定の米消費者物価指数(CPI)が低下傾向にある場合、2月のFOMCでのFF金利利上げ幅は0.25%に留まると予想される。なお、10日朝に米国10年債利回りは3.75%から3.5%まで低下している。
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