イーサリアムL2「StarkNet」、ノードクライアント「Papyrus」をリリース 分散化とパフォーマンス向上へ

StarkNetの分散化を推進

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューションを開発するStarkWare社は11日、ZKロールアップ「StarkNet」の新たなフルノードクライアント「Papyrus」をリリースした。

PapyrusについてStarkWare社は「StarkNetの大量使用への道を開くのに役立つ」と強調。MicrosoftやGoogle、Amazonなど主要なIT企業でも利用されているプログラミング言語「Rust」で構築され、アパッチ・ライセンスに沿ってオープンソース化されている。

StarkNetのフルノードクライアントとしてPapyrusは3種類目となり、ネットワークの分散化と冗長性向上が期待される。ブロックチェーンにおいては、クライアントの多様化によりサービス妨害攻撃(DOS)などの被害を軽減できる場合がある。

これまでStarkNetでは分散型開発組織Equilibriumとリサーチ&エンジニアリング会社Nethermind社という2つのチームが、StarkNetノードクライアント「Pathfinder」と「Juno」を提供していた。

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StarkNetとは

StarkNetはオフチェーンで処理した数百件のトランザクションを1つの暗号証明に集約し、イーサリアム・ブロックチェーンに保存する「ZKロールアップ」を使用。競合のOptimisticロールアップより不正耐性が高く、送金の処理時間が短い等の利点がある。

StarkNetは21年11月にイーサリアム(ETH)のメインネットにリリースしたが現在もまだアルファ版である。22年11月にはStarkNetトークン(STRK)をメインネット上で公開した(執筆時点に未配布)。

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StarkNetのパフォーマンス改善

StarkNetは現在、1)ユーザビリティの確立、2)パフォーマンスの改善、3)分散化、からなる3段階のロードマップにおいて、2番を最優先課題としている。

この点でPapyrusは、StarkNet上のブロック生成を担う「シーケンサー」の処理性能向上に役立つという。スマートコントラクトの状態や各アカウントの状態を保存するデータ構造(マークルパトリシア木)経由ではなく、ネットワークの状態(ステート)と直接通信が可能。今後リリース予定の新機能「StarkNet Sequencer」にストレージレイヤー(ローカルDB)を提供する基盤となる。

なお、リリース時点でPapyrusはオープンソース化されているが、通信規格の一種「JSON-RPC」を部分的にしかサポートしていないため、一般利用に向けたフルリリースは数か月以内とされている。

シーケンサとは

トランザクションを処理し、ロールアップ・ブロックを生成し、トランザクションをL1チェーン(Ethereum)に提出する。メインチェーン(L1)におけるバリデーターのような役割とされ、トランザクションの順序を制御する。

▶️仮想通貨用語集

StarkNetは現在、各ノードが集中型APIと通信する仕組みで稼働しているが、今後はピア(コンピューター)間で同期する機能の実装により、ネットワークの同期時間が大幅に改善される目論みだ。StarkWareは以下のように述べている。

Papyrusチームは、PathfinderとJunoとともにStarkNet P2P レイヤーの基盤を形成するために取り組んでいる。さまざまなノードがP2P レイヤーを介して通信および同期できるようにすることは、StarkNetの分散化に向けた大きな飛躍となる。

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は1月1日、23年中にロールアッププロジェクトの多くが未成熟な段階を脱却し、より分散化が進行するとの見通しを示した。ロールアップ開発企業へのトラスト(信頼)レベルを抑え、L2利用上の安全性を高める「ステージ1(limited training wheels:制限付き補助輪モード)」へ移行すると同氏は見ている。

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