米FRB、仮想通貨銀行「Custodia」のメンバーシップ申請を否認
仮想通貨のリスクを懸念
米連邦準備理事会(FRB)は27日、暗号資産(仮想通貨)などのデジタル資産に関する銀行サービスを提供する「Custodia Bank」が提出していたメンバーシップ申請を否認したことを発表した。
Custodiaのビジネスモデルと仮想通貨に特化した事業は、安全性と健全性で重大なリスクがあると主張。法律で定める必要要件を満たしていないと、FRBは否認の理由を説明した。
同社はワイオミング州で認可を得ている「特別目的預託機関(SPDI)」。サービス内容には、デジタル銀行の運営やデジタルドルの発行、カストディなどが含まれる。FRBによると、Custodiaのサービスには連邦預金保険が適用されていない。
SPDIとは
米ワイオミング州の金融機関の形式で、「Special Purpose Depository Institutions」の略。SPDIは従来の銀行業務を行いながら、仮想通貨のサービスを提供できる。ただし、顧客の法定通貨預金での融資は通常は禁じられている。
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FRBのメンバーシップには、州に認可された商業銀行も条件を満たせば参加することが可能。FRBのメンバーになれれば、それぞれが12の連銀の監督下で運営を行うことができ、顧客に対しては信頼性を向上させることができる。
否認の理由についてFRBは、同社のリスク管理のフレームワークが、仮想通貨の対策として不十分であると指摘。例としてマネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)が十分に行えていないと主張した。
今回FRBに申請が認められなかったことについてCustodiaは声明を発表。 Caitlin Long CEOは「我々は仮想通貨について、米国の銀行システムにも安全で、規制に準拠したサービスを提供している」と主張した。また、「従来の銀行に適用される水準以上の要件や規制にも積極的に準拠しようとしている」と説明している。
そしてLong氏は、FRBの各種申請の取り扱いには問題があると指摘した。
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マスター口座の申請
同氏がFRBの対応を問題視する背景には、Custodiaが行ったマスター口座の申請がある。同社は昨年6月、マスター口座への申請に関する決定を遅らせたとして、FRBとカンザスシティ連銀を原告とする訴状をワイオミング州地方裁判所に提出していた。
米中銀のシステムを利用するにはマスター口座を開設する必要があるが、仮想通貨銀行などの金融機関は、この口座を開設する許可が付与されにくい現状がある。
FRBは同年8月、仮想通貨を扱う企業やフィンテックなど新しい種類の金融機関を念頭に、マスター口座開設に関わるガイドラインを発表。こうした金融機関に対しては一般的に、より厳格な審査が行われるという内容を盛り込んだ。
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昨年1月にはFRBのJerome Powell議長が「SPDIにマスター口座の開設を許可することは、これまでにない重大な前例を作るケースであるため、慎重に審議している」と発言している。
Custodiaのマスター口座の申請については、現在も保留されている模様だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します