東南アジア最大手の商業銀行DBS、香港で仮想通貨ライセンス申請を検討

香港へ仮想通貨サービスを拡大

東南アジア・シンガポール最大手の商業銀行、DBS銀行は、香港で暗号資産(仮想通貨)取引サービスを提供するため、ライセンス申請を行う意向を表明した。13日にブルームバーグが報じた。

DBS銀行(香港)のSebastian Paredes最高経営責任者は、ブリーフィングで「DBSが香港の顧客にデジタル資産を販売できるよう、香港でライセンスを申請する予定だ」と述べた。

香港政府は昨年10月、仮想通貨業界の発展を支援する姿勢を表明。取引所をはじめとする関連企業の誘致にも積極的だ。香港の立法会(議会)は同年12月、仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)のライセンス制度を導入する法律を可決している。

DBS銀行はデジタル資産関連のリスクには依然として敏感だが、香港の政策転換を歓迎するとParedes氏は言う。香港の規制が明確になり、同行が「その枠組みを正確に理解」した暁には、DBSが参入に関心を持つ金融機関の一つになるだろうと同氏は述べた。

DBSとシンガポールの動向

DBSグループは、2020年12月に機関投資家向けに、仮想通貨を含むデジタル資産の取引所「DBSデジタル取引所」をローンチ。金融機関、ファミリーオフィスなどの適格投資家とプロのマーケットメーカーがサービスの対象となっている。

22年2月、同年末までに個人投資家向けサービス提供の計画を発表したが、主要な仮想通貨関連企業の連鎖破綻で市場が混乱したこともあり、実現していない。

中央銀行にあたるシンガポール金融管理局(MAS)は昨年8月、より厳格な金融系ライセンス制度の整備と個人投資家の仮想通貨取引に関する規制強化方針を発表。その背景には、7月に米国で破産申請をした大手仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)が、MASに虚偽情報を申告し、規定の資産運用額を超過した取引を行うなど規制違反が明らかになり、調査が進められていた経緯がある。

関連:シンガポール金融管理局(MAS)、仮想通貨の個人投資家に対する規制強化方針を示す

仮想通貨取引には慎重になる一方で、MASとDBSは、ブロックチェーン技術を活用した共同プロジェクトに積極的に取り組んでいる。

DBSはMASが主催する証券決済や精算方法を探求するProject Ubinに参加。また、昨年5月には、デジタル資産の実現可能性を検証する共同イニシアチブを、米金融大手JPモルガンの協力で開始した。

さらにDBSは22年10月、シンガポール政府と連携し、トークン化されたシンガポールドルの発行の実証実験を行うと発表。この実験はデジタル・シンガポールドル実現を目指して、MASが進めているProject Orchidの一環として行われる。

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仮想通貨ハブを目指す香港

シンガポールが仮想通貨の関連リスクに慎重な姿勢を強める中、香港は仮想通貨業界の支援の方向に舵を切っている。

香港政府は昨年10月、国際的な金融拠点として、イノベーションに積極的な仮想通貨関連企業を誘致するとともに、金融当局と連携して法整備を整えていく方針を発表。本年1月9日には、Paul Chan財務長官が講演で、香港が地域の仮想通貨のハブ(中心地)になることを目指していると改めて強調した。

チャン財務長官によると、多くの大手テクノロジー企業やハイテク新興企業が香港政府にコンタクトしており、香港での拠点設置や上場などを計画しているという。

関連:「香港を仮想通貨の中心地に」財務長官が強調

また、香港証券先物委員会(SFC)のJulia Leung Fung-yee CEOは1月11日、香港当局が個人投資家に仮想通貨取引を認めるための規制整備を行っていると発言。個人投資家が仮想通貨取引可能な銘柄や条件、および取引プラットフォームのライセンス要件などについての協議書をSFCが今四半期(1~3月)中に発行する予定だと述べた。

金融管理局は1月31日、仮想通貨とステーブルコインの規制に関する方針を発表。主にステーブルコイン関連で規制対象となる活動や、包括的な規制枠組みを示した。

関連:香港当局、仮想通貨とステーブルコインの規制方針決定/a>

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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