分散型ID開発のオントロジー、2023年のロードマップを発表
2023年のロードマップ
Web3に特化した信頼・プライバシー・セキュリティに主眼を置いた分散型IDソリューションおよびデータ特化型のオープンソースプラットフォームを開発するOntology(オントロジー)は23日、2023年のロードマップを公開した。技術、分散型アイデンティティ、エコシステムの3領域で、それぞれ計画を示している。
技術領域のロードマップ
まず、技術面では主に以下の項目を進めていく。
- メインネットのパフォーマンス最適化を継続
- ノードとユーザーのステーキング機能およびUIの最適化
- Ontology EVM Web3 インターフェースの改善
- 技術文書などを改善し、開発者フレンドリーにする
- ツール開発など、レイヤー2エコシステムへの注力
- セキュリティをさらに強化
- OWNインフラの機能をWeb3の変化する需要に対応させる
オントロジーの独自トークンONTは、トークン保有者に、ガバナンス投票権やトークンをステーキングする権利を付与するものだ。23年には、このステーキング機能やユーザーインターフェース(UI)がさらに進化する形である。
なお、ONTのステーキング報酬は、オントロジー・ガス(ONG)という別のトークンで渡される。このONGは、メインネットを動かす手数料であり、スマートコントラクトの実行やトランザクションの発行など、オントロジー・ブロックチェーンの操作を行う際にも活用されるものだ。
オントロジーは2022年に、独自のイーサリアム仮想マシン(EVM)である「Ontology EVM Web3」を正式に立ち上げている。
これは、イーサリアム上の何千人もの開発者をオントロジーに誘致することを目的として開発されたものだ。ブロックチェーン間の相互運用性を高めることで、開発者の移行コストの削減、より低いガス代などを可能としている。
OWNインフラストラクチャーである「Ontology Web3 Network」もアップデートの範疇内。このインフラストラクチャーは、複数の開発ツールを一ヶ所で提供することを目指すものであり、多言語サポートが存在し、マルチチェーン・マルチアセットに対応している。
分散型アイデンティティ領域のロードマップ
オントロジーは2023年、分散型アイデンティティ(DID)と分散型データの、様々な分野での導入をさらに後押ししていく姿勢だ。DID、データ、レピュテーション管理機能を統合して、ユーザーのプライバシーや情報の保護をさらに強化することを目指す。
分散型IDとは
分散型IDとは、中央集権的な身分証明証の発行機関や組織などに依存することなく、自分が誰であるか、また自分に関する情報や保有する資格などを証明・管理することのできる、新たなタイプのIDを指す。
▶️仮想通貨用語集
オントロジーは、独自の分散型IDである「ONT ID」を提供しているところだ。現在はオープンソース化されており、KYC(本人確認)、ウェブサイトへのログイン、P2P(ピアツーピア)通信機能などのオプションも追加されている。
大手自動車メーカーのメルセデスベンツグループもONT IDを基盤にしたサービス、「ウェルカムホーム(Welcome Home)」を共同開発している。ドライバーの車内体験をよりパーソナル化し、その管理プロセスを簡略化するものだ。
ドライバーは本人確認を即座に行ったり、IDを利用して車をレンタルする際に音楽や照明、空調などの設定を受け継ぐことなどができる。
オントロジーは、その他にも、移動サービス用ブロックチェーンの開発を行う「bloXmove」とも提携。運転免許証などを、匿名性の高い方法で共有できるようにするなどしている。
エコシステム領域のロードマップ
オントロジーは、2022年に、Ontology EVMのローンチと同時に、独自トークンの形で1,000万ドル(約13.6億円)相当となる開発者向けファンドを設立している。参加プロジェクトが、技術、マーケティング、ビジネス開発などの面でオントロジーから手厚いサポートを受けられるものだ。
2023年には、このファンドへの参加プロセスがよりシンプルにアップグレードされ、開発者がOntology EVM上でさらに開発しやすくなる見込みである。
開発者サポート関係では、2022年4月には、主要な開発者コミュニティ「Dora Hacks」と共同でオンラインハッカソンを開催しており、NFT(非代替性トークン)や、DAO(自律分散型組織)など様々なWeb3分野に取り組む26のプロジェクトが参加した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します