メイカーダオ(MKR)米国債投資で収益改善、追加投資も検討へ

MakerDAOの投資戦略

DeFi(分散型金融)大手Makerプロトコルを管理する「MakerDAO」のガバナンスフォーラムで5日、米国債への投資予算として新たに約1,000億円(7億5000万ドル)を配分する提案書が提出された。

Makerプロトコルは、ステーブルコイン「DAI(ダイ)」の発行・管理、レンディングプラットフォーム。MakerDAOはプロトコルの運用方針について、ガバナンストークン(MKR)の投票を通して管理するDAO(分散型自律組織)だ。

MakerDAOは22年10月から、DAI準備金の約5割(5,800億円:当時)を占めるステーブルコイン「USCCoin(USDC)」の運用戦略(MIP65)をスタート。当時の戦略は、米国短国債(8割)と社債(2割)に725億円(5億DAI)を投資するという内容だった。

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MakerDAOが7日に報告した内容によると、短期債への投資戦略から獲得した累積金利収益は約2.88億円(210万ドル)に上り、MakerDAOの年換算収益の50%以上を占めている。また、現在この戦略(MIP65)のポートフォリオは、投資企業ブラックロックが提供する「米国短期国債1年未満ETF」と「米国短期国債 1-3年 ETF」のみで、7:3の割合で構成されている。

5日の提案では、7億5,000万円は計12回に分割されて、6ヶ月間かけて短期米国債(6か月)を購入する戦略が検討されている。この方法により、コストや税効率を最適化、段階的に満期を迎えることで流動性を確保できるとした。

新たな提案がガバナンス投票で可決されれば、米国債等への最大投資上限は合計で1,718億円(12億5,000万ドル)となり、MakerDAOのさらなる収益拡大につながると期待されている。

DAIとは

DAIは暗号資産(仮想通貨)担保型のステーブルコインで、主にイーサリアムチェーン上で発行されている。米ドルの価値と連動し、1DAI≒1ドルを維持するよう設計されている。DAIの時価総額は7134億円に上り、ステーブルコイン分野で時価総額4位を誇る(執筆時点)。

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米国債市場

7日の米金融市場では、パウエルFRB議長が「政策金利のターミナルレート(最終到達点)は想定より高くなる可能性が高い」と発言。3月22日のFOMCで0.50ポイントの利上げ観測が急上昇したことで、政策金利の動きを反映しやすい米2年物国債利回りは2007年以来15年ぶりに5%台まで上昇していた。

出典:TradingView

投資家にとって、国債は元本が保証されている安全な資産という意味で「無リスク資産」とされる。無リスク資産から得られる利回り(リスクフリーレート)が、リスクのある資産の期待利回りよりも魅力的な場面では、投資家が無リスク資産に移る傾向がある。

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