イーサリアムL2「zkSync」、zkEVMのメインネットのアルファ版を全ユーザーに提供開始 開発企業のCEOが独自トークンに言及

イーサリアムで自由な経済圏を構築

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2プロジェクト「zkSync」は24日、スケーリングソリューション「zkSync Era」のアルファ版が、全てのユーザーに公開されたことを発表した。

zkSyncのミッションは「個人の主権のために仮想通貨の普及を加速させること」。zkSync Eraを稼働させてイーサリアムの処理をサポートするだけでなく、信頼の必要性や障壁のない自由な経済圏を築いていくという。

これまで段階的にローンチが進めされてきたzkSync Eraは、以前は「zkSync2.0」と呼ばれていた。今年2月にzkSync2.0を、事前登録したプロジェクトにだけ公開した際に名称をzkSync Eraに変更している。

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その時から1カ月超を経て、zkSync Eraは全てのユーザーが利用できるようになったが、まだアルファ版。これから利用が増加していく中で、出金に遅延が起きないか、脆弱性がないかなどを確認していく。

一方で、zkSync Eraを安全に稼働させるために、これまで約4.9億円(380万ドル)を費やしたという。ネットワークのテストを行ったり、複数回セキュリティ監査を実施したり、バグの報奨制度を設けたりして準備を進めてきた。

zkSync Eraの特徴

zkSync Eraは、イーサリアムの仮想マシン(EVM)と互換性を持つ「zkEVM」に分類されるL2ソリューション。ゼロ知識証明を導入したロールアップ技術「ZKロールアップ」を活用している。

ロールアップとは

メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションのこと。

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大きな特徴の1つとして挙げられるのは、最初から「アカウントの抽象化(Account Abstraction:AA)」に対応していること。イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は以前、「AAの実装は、イーサリアム開発者コミュニティの長年の夢である」と述べていた。

AAに最初から対応させることで、zkSync Era上に作られたアカウントは全て、イーサリアム以外のERC-20トークンで手数料を支払ったり、ガス代を肩代わりしてもらったりすることが可能になる。

なお、AAは今月、イーサリアムにも実装されたことが明らかになった。開発者はAAを導入してアプリケーションの構築を行えるようになっている。

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イーサリアムのL2ソリューションとして注目を集めるzkEVMは、ポリゴン(MATIC)やConsenSys、Scrollといったプロジェクトも開発。どのプロジェクトも本格的な実用化に向けて、開発が進んできた。

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独自トークンの発行について

仮想通貨メディア「The Block」よれば、現時点ではzkSync Eraが独自トークンを発行する明確な予定はない。zkSyncを開発するMatter LabsのAlex Gluchowski CEOが「今の時点ではトークンは必要ない」と話したという。

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現在トークンが必要ない理由は、運用の大部分が中央集権化されているため。アルファ版では、Matter Labsが独断でコードをアップグレードしたり、シーケンサーやプルーバーといった役割を管理したりするようになっている。Gluchowski氏は、シーケンサーを分散化される時にはトークンが必要になるだろうと語った。

また同氏は、UniswapやCurve、Balancer、Maker、SushiSwapなどの著名なDeFi(分散型金融)プロジェクトが、zkSync Eraを使用するとも明かしている。

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