大型アップグレード「Bedrock」実施後のOptimism、ガス代を56%削減
ガス代の削減に成功
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2ネットワーク「Optimism」は、今週にアップグレード「Bedrock」を実行した後、ガス代を56%削減している。
アップグレード後のパフォーマンスを表示している「Dune」のダッシュボードによると、ガス代の平均はアップグレード直前の0.298ドルから、本記事執筆時点で0.129ドルまで低下。今週実施されたBedrockは、ガス代を下げることを1つの目標にしていた。
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トランザクションを種類別に見ると、イーサリアムの送金にかかるガス代が最も削減されていて-66%。次にERC-20トークンの送金とNFT(非代替性トークン)の発行で62%削減されている。一方、コントラクトのデプロイ(展開)は種類・サイズ別にみて、どれも30%台である。
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Optimismの開発に携わる「OP Labs」のオンチェーンデータアナリストMichael Silberling氏は「The Block」に対し、「トランザクションコストの約86%は、イーサリアムにデータを提出する時に発生する」と説明した。
L2とは
「レイヤー2」の略で、「2層目」のネットワークのこと。全ての取引をメインチェーンで処理すると負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。取引の一部をL2で行うことで、メインチェーンの負荷軽減や処理速度の向上を期待することができる。
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Optimismの特徴
Optimismは、「オプティミスティック・ロールアップ(ORU:Optimistic Rollup)」という方法で稼働している。自身のL2ネットワークで複数のトランザクションを処理し、1つにまとめてからL1であるイーサリアムにデータを提出する仕組みだ。Bedrockではデータコストを最小限に抑えることで手数料を下げる手法を導入している。
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現在はユーザーにとってもポジティブなデータが示されているが、Silberling氏は「トランザクションごとの平均コストは、イーサリアムのトランザクションコストに左右される」と説明。これはOptimismがコントロールできる部分ではないという。そのため、Optimismのガス代は変動する可能性があるとした。
それでもBedrockはアップグレード後の数日間で、ユーザーのトランザクションコストを合計で約2,280万円(16万3,624ドル)削減している。
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