パーソナルAIアシスタント「Pi」手掛けるInflection AI社、エヌビディアなどから1,900億円調達

パーソナルAIアシスタント「Pi」

パーソナルAI(人工知能)を手掛ける米Inflection AI社は29日、マイクロソフトやエヌビディアを筆頭とする投資家たちから13億ドル(約1,900億円)の資金調達を達成したと明らかにした。

この資金は、同社が今年5月にローンチした対話型AI「Pi」の開発に充てられる。

今回の投資ラウンドに参加した他の投資家には、グーグルの前CEOであるエリック・シュミット氏やビル・ゲイツ氏、そしてリンクトインの創設者であるリード・ホフマン氏が名を連ねている。Inflection AIのこれまでに集めた資金は合計で15.25億ドル(2200億円)に達した。また、同社の評価額は40億ドル(5,700億円)にも上るとの報道も出ている。

Inflection AIは、AI研究機関であるディープマインドの共同創設者ムスタファ・スレイマン氏とグーグルに買収されたAI技術会社Vision Factoryの創設者、カレン・シモニャン氏が2022年に設立したAI開発企業だ。

同社が今年5月にリリースした「Pi(パーソナル・インテリジェンス)」は、人々の個々の興味やニーズに基づく無限の知識を提供するように設計されている。ChatGPTのようなチャットボットAIがタスクの実行や質問への回答を行うことに加え、Piはより深い意味での対話を提供することを目指している。

Piは、趣味や興味、感情などに対応し、対話を通じて学び、ユーザーの関心に最適化するように設計されている。無料で利用でき、Webやモバイル、ソーシャルメディアやWhatsAppを通じてPiにアクセスでき、どこでもいつでも会話を続けることができるという。

Inflection AIのムスタファ・スレイマンCEOは、「パーソナルAIは、私たちが生きている間に最も大きな変革をもたらすツールになるだろう。これはまさに変曲点だ。」と強調している。

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世界最大級のAIクラスタを配備

Inflection AIは人類全体の公益を追求することを目指し、「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」として設立された。35名程のプロジェクトチームには、ディープマインド、グーグル、マイクロソフト、OpenAI、メタなどで経験を積んだAI業界のエキスパートが含まれる。

同じくChatGPTの開発を手掛けるOpenAIも、非営利組織として2016年にテスラのイーロン・マスクCEOとY Combinatorのサム・アルトマンCEOによって設立された。その設立時には、シリコンバレーの有力者たちから10億ドルの寄付を集め、注目を浴びた。なお、マスク氏は2018年にOpenAIの幹部職を退任した。

Inflection AIは現在、パートナー企業であるコアウィーブやエヌビディアと共に、世界最大規模のAIクラスタを構築中だ。このクラスタは22,000台のNVIDIA H100 Tensor Core GPUを活用し、ディープラーニングモデルの訓練や推論に必要な計算リソースを提供している。このGPUは、AI処理やディープラーニングタスクに特化し、高い計算能力と効率性を発揮する。

エヌビディアの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は以下のように述べた。

AI革命の強力な特性の一つは、自然で会話的な言語を使用してスーパーコンピュータと対話し、私たちの日常生活を簡素化する能力だ。Inflection AIの世界クラスのチームは、この画期的な仕事をリードし、NVIDIAのAI技術を活用して開発、訓練し、そして大規模な生成AIモデルを展開することで、驚異的なパーソナルデジタルアシスタントを実現している。

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