BinanceLabsが出資、Pendle Financeが実現する米国債金利のトークン化

米国債金利のトークン化

イールド・トークナイゼーションをリードするPendle Financeが業界の視線を集めている。Pendleは23日、米国債金利を獲得する2つの主要な暗号資産(仮想通貨)を統合したと明らかにした。さらに、Binance Labsからの出資表明も受けて、RWA(リアルワールドアセット)によるDeFi市場拡大への期待が高まっている。

Pendle Financeのサービスは、各種トークンの将来の利回りをトークン化し、独自の分散型取引所で取引を可能にするものだ。主要な米ドル連動型ステーブルコインUSDCなどの資産を「元本トークン」と「利回りトークン」に分け、Pendleトークン(PT)として別々に流通可能にする。

このシステムのメリットは、資金提供者が利回りトークンを直ちに売却し、金利変動のリスクをヘッジできること、そしてエンドユーザーが元本トークン(金利分が差し引かれている)を市場価格よりもお得に購入し、指定期日に償還できる点にある。

Pendleが新たに取り扱うsDAIとfUSDTは、どちらも米国債の金利を獲得するトークン化資産であり、Pendleでは、それぞれ2024年9月を期日に固定金利3.99%と3.55%を設定する。これにより、米国債の金利部分のみを即時換金することが可能になった。

sDAIとは

sDAIとは、「ダイ(DAI)」という米ドル連動型ステーブルコインを発行するMakerDAOはエコシステムの貯蓄口座「DSR」に関連する資産。DSRでは、DAIやイーサリアム(ETH)を預けて、2~8%の年間利回りが期待できる。金利の主な収益源は、米国債などのRWAから得られる運用益だ。

背景知識として、MakerDAOはDAIの準備金の運用戦略で22年10月に米国短期国債と社債に725億円(5億DAI)を投資。2023年3月には、1,000億円(7億5000万ドル)の追加投資を行っている。

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そして、MakerDAOのエコシステムにおける「SparkProtocol」が、各DSRにロックされた資産のリキッドステーキングトークン(sDAIやsETHなど)を発行している。ユーザーはこのsDAIを利用して、Makerプロトコルの金利(執筆時に5%)を得ながら、sDAIをAaveなどのDeFiで貸し出すなどして運用に回せる。

Pendleがサポートしたもう一つのRWA関連資産は、Flux Protocolが発行するステーブルコインfUSDTだ。fUSDTは、トークン化された米国債(OUSG)を担保とする米ドル連動型トークン。Fluxはまだ小規模ながらも、トークン化された米国債を使っての金利獲得という点で、sDAIと類似のメカニズムを持つ。

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米国債金利のトークン化に対する需要

マクロ経済の不透明さや景気後退のリスクが高まる中で、米10年債の利回りは4.35%に達し、約15年9カ月ぶりの高水準となっている。この背景から、Pendleのサービスが米国債と固定金利のトークン化により、新しい金融市場の可能性を広げることが期待されている。

最近、Binanceのベンチャーキャピタルおよびインキュベーション部門Binance LabsがPendleへの投資を発表。Binance Labsの共同創設者であるYi He氏は「Pendle Financeと連携し、DeFiのエコシステムを更に進化させることを楽しみにしている」とコメントしている。

現在、Pendle Financeはイーサリアムのほか、アービトラム、BNB Chainの3ネットワークで25のプールをサポート。預け入れ総額は年初の1500万ドルから1.5億ドルへと増加している。

Pendleがこれまで主に取り扱ってきたリキッドステーキングトークン(例、stETH)の枠組みを超え、RWAの需要獲得により、さらなる成長が期待されている。

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8月7日に、DeFiのMakerプロトコルの仮想通貨ステーブルコインDAIは、DSRの最大金利を3.19%から最大8%に引き上げた。6日時点のDSR預金額3.3億DAIから、本記事執筆で12億DAI以上まで増加した。

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