米コインベース、欧州FTXの買収を一時検討 デリバティブ取引へ注力か
デリバティブ商品に注力の方針か
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは、2022年11月に破綻したFTXのの欧州法人を買収することを検討していた。デリバティブ商品の提供を拡大することを目的としていたとみられる。Fortuneが報じた。
買収交渉が最終段階に達することはなかったものの、コインベースのFTXヨーロッパへの関心は、同社の世界的な事業計画の中でデリバティブの重要性が高まっていることを示唆するものだ。
FTXヨーロッパは、キプロスでライセンスを取得しており、グループが破綻するまでは永久先物と呼ばれる仮想通貨デリバティブをヨーロッパ市場に提供する唯一の企業だった。
デリバティブとは
仮想通貨や株式といった元になる資産から派生した金融商品のこと。英語表記は「派生」を意味する「derivative」。日本語では「金融派生商品」とも呼ばれる。代表的なデリバティブに先物取引、オプション取引、スワップ取引などがある。原資産の取引におけるリスクを軽減するために活用したり、単純に高い収益性を追求するために利用されている。
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米国個人ユーザーに先物提供へ
仮想通貨市場では、デリバティブ取引が盛んである。仮想通貨リサーチ企業Kaikoによると、2023年第2四半期(4~6月)には、デリバティブの出来高はスポットの出来高の6倍だった。
こうした中、コインベースも8月に米国でデリバティブ商品を取り扱うためのライセンスを取得したと発表している。傘下のコインベース・ファイナンシャル・マーケッツが全米先物協会から先物取引業者としての承認を得た格好だ。
これによりコインベースは、米国のリテールユーザーに、仮想通貨先物を提供する認可を得た初の仮想通貨企業となった。今後数週間でデリバティブ商品の提供を始める見込みである。
Kaikoのアナリストであるデシスラバ・オベール氏によると、現在、デリバティブ市場はバイナンスを中心とした米国外の取引所が独占しているところだ。一方で、オベール氏は次のように続けた。
今年は(米国外オフショア取引所の)支配力が低下していることがわかった。これは本質的に、デリバティブ市場に成長の可能性があることを意味している。特に、コインベースはその知名度により機関投資家を引き付けるかもしれない。
リサーチ企業Delphi Digitalは、もしコインベース・インターナショナルが、現在のバイナンスにおける先物取引高の25%相当を確保することができれば、追加で約2,700億円(約18億ドル)の収入が見込めると推測している。これは2022年の取引関連の収入の倍にあたるとも述べた。
米国外の事業展開
コインベースは、米国における規制の不透明さも背景として海外展開にも力を入れているところだ。8月には、カナダ事業を立ち上げた。現在、米国外の最大拠点となっている。レバレッジ商品やデリバティブ商品も、個人投資家と機関投資家の両方に提供していく計画だ。
コインベースは5月に北大西洋の島国バミューダでも取引所を立ち上げ、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の永久先物を提供している。その他、シンガポール、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビなどでも事業を進めているところだ。
コインベースの他、仮想通貨取引所ジェミナイも4月、米国外ユーザー向けのデリバティブ取引プラットフォーム「Gemini Foundation」を発表している。
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