カナダ大手銀行の一つと協議中
大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは、バンキングで提携することを目指してカナダで大手銀行と交渉しているようだ。コインデスクが25日に報じた。
これは、コインベースのカナダ事業ディレクターを務めるルーカス・マシソン氏が明かしたものだ。マシソン氏は、カナダの主要銀行の一つと協議しているところだと話した。具体的な銀行名は明かしていない。
マシソン氏は、次のように述べている。
私がカナダで取り組んでいることの1つは、主要銀行の1つと緊密に連携して仮想通貨関連のバンキングを開始し、仮想通貨業界を支えていくことだ。
今後数四半期のうちに、カナダの大手銀行の一部が仮想通貨の経済圏に参入することに期待を持っている。
カナダ事業を正式立ち上げ
コインベースは14日、カナダ事業を正式に立ち上げたところだ。現地で200名近くのフルタイム従業員を雇用しており、米国外では同社最大の拠点となる。
2023年後半には、EFT(電子送金)システムを導入し、EFTを介した直接的な銀行送金も行えるようにする計画だ。ユーザーの入出金円滑化、1日あたりの取引可能額の増加などをねらいとする。
カナダでは、証券管理局(CSA)が2月、投資家保護のために仮想通貨規制を強化したところだ。CSAによる同意なしに、仮想通貨取引所がステーブルコインなどの購入・預金サービスを提供することの禁止などを盛り込んでいた。
こうした動きを受けて、仮想通貨取引所バイナンスやパクソスはカナダでのサービスを終了している。
しかしマシソン氏は、カナダの規制を高く評価している。米国では「法的執行による規制」が行われているが、カナダでは当局がきちんと関与して規則を整えるような規制が行われているとの趣旨で発言した形だ。
コインベースは今後、カナダで完全なディーラーライセンスを取得し、レバレッジ商品やデリバティブ商品を個人投資家と機関投資家の両方に提供できるようにする見込みだ。
なおコインベースは、同国への規制対応のために、8月31日よりカナダでの RAI Reflex Index(RAI)、ダイ(DAI)、USDTの取引を停止するとユーザーに通知している。
米国の状況
米国では、特に米証券取引委員会(SEC)が、仮想通貨について明確なガイドラインを提示しないまま、突然訴訟など法的執行を行って、恣意的な取り締まりを行っているとして批判されてきた。
SECはコインベースに対しても、有価証券を未登録で販売しているとして訴訟をおこしている。この裁判については、イェール大学など名門大学の法学者らからも、コインベースの立場を支持する法廷助言書が提出されたところだ。
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